初秋に帰省した際に今年は現地の旭川ラーメンをまったく食べなかったのだが、東京に戻ってからやはり食べたくなった。実際には深夜にも営業している北海道ラーメンの店で旭川正油ラーメンというのを一度食べていたのだが、旭川ラーメン感はそれほど感じられなかった。
いつかのちょうどこの時期、父が仕事で上京し、現在の妻と3人で横浜中華街に行ったことなどを懐かしく思い出し、久しぶりに行ってみようかというような気分になったのだが、そういえば横浜に梅光軒があったはずだと検索してみたところ、すでに閉店していた。梅光軒はもうすでに日本国内だと北海道にしかないようである。
梅光軒の正油ラーメンは昨年と一昨年の帰省時に、旭川空港に着くなりフードコース的なスペースで食べていたのだが、今年は食べていなかった。中学生や高校生だった1980年代前半、最もレコードをよく買っていたミュージックショップ国原がかつてあったビルの地下に本店がある。当時もよく食べていたと思うのだが、梅光軒という店の名前は認識していなかった。それから時が流れて2010年代に帰省して妹と旭川で食事をしようとなった時に、旭川ラーメンの有名店だという梅光軒という店に行こうということになり、行ってみたところあのミュージックショップ国原があったビルの地下だった。その後、東京駅近くのKITTEという商業施設にラーメンダイニングばいこうけんというのが出店し、ここにもたまに行っていたのだがいつの間にか閉店していた。
それはそうとして、梅光軒がもう横浜にはないことを知る過程で、新百合ヶ丘のイオンの中に大雪軒という旭川ラーメン店があることを知った。これは機会があればぜひ行ってみようと、FireTVのYouTubeアプリで「旭川ラーメン」と入力した時点で蜂屋のロゴマークと「10月6日新発売」的な文字が表示された。蜂屋のラーメンが久々にカップラーメン化でもされたのかと調べてみたところ、なんとラーメンチェーン店のらあめん花月嵐が期間限定で蜂屋のラーメンを出しているというのだ。しかも、発売されてからしばらく経っていて、もしかすると間もなく終わってしまうかもしれない。これは行っておかなければいけないだろうと思い立ち、行きやすい店舗を調べたのであった。東京在住の身でありながらこれだけ旭川のことばかり検索しているにもかかわらず、どうしてこの情報がこれまで入っていなかったのだろう、というような思いはあったが。
それにしてもこのらあめん花月嵐というチェーン店は、想像していた以上に店舗数が多い。電車で行くと自宅からわりと近い分倍河原にまであることが分かった。そういえば少し前に何らかの用件で分倍河原駅を利用した時に駅からわりとすぐ近くにらあめん花月嵐のお店があったような気がする。それで、電車に乗っていってみた。Google Mapで調べた結果とぼんやりとした記憶を頼りに歩いていくと、なんとあの蜂屋のシンボルカラーともいえる緑と赤ののぼりが風に揺れている。

そういえばかなり以前に東京の神楽坂に蜂屋が出店していたことがあり、一度だけ行って食べたことがあったのだが、思っていたのとかなりちがうように感じられ、しばらくすると閉店していた。蜂屋のラーメンは焦がしラードなるものが特徴で、そのスープは特にひじょうに個性的なのだが、これが熱烈なファンを生む一方で、苦手な人たちからはガソリンの味がするなどといわれたりもする。私は蜂屋のラーメンが大好きであり、ガソリンの味がするとはまったく思わないのだが、いわんとすることはなんとなく分かるし、神楽坂のお店で食べたときには確かにそれの近いことを感じた。
というわけで、らあめん花月が提供する蜂屋のラーメンはどうなのだろうか、というような思いはあった。それにしても店頭で蜂屋ののぼりやポスターなどはかなり目立っていて、すっかり現時点における目玉商品的な扱いである。とはいえ、11月4日には次の期間限定メニューがはじまるようで、おそらくそれまでのことなのだろう。

食券機のディスプレイにもまず蜂屋のラーメンが大々的に表示される。タップすると普通のと肉多めなのから選べるようで、肉多めの方には生姜も付いてくるようである。普通の方をタップしたのだが、確か税込み980円ぐらいだったような記憶があり、昨今の感覚からするとまあ妥当なのだろう。平日の午後2時すぎで、店内には団体1組が帰ったあととカウンター席に会社員風の男性一名だけがいた。店主のような方に食券を渡すとメニューを軽く確認され、それほど待たずにラーメンが提供された。
トレーに敷かれているのも蜂屋のことが載ったものであり、蜂屋のXとInstagramのQRコードまで印刷されている。ラーメンのビジュアルは記憶の中にある現地の蜂屋にわりと近いのではないかという感じがして、スープの色合いも含めてこれはなかなか良いのではないかという期待をいだかせた。

味そのものも個人的な感覚としてはわりと再現度が高いような気はして、あの蜂屋以外では味わうことができない焦がしラードの香ばしさの奥に感じられる味わい深さも含め満足のいくものであった。期間限定なのでおそらく近いうちに食べられなくなるのだが、何とか間に合って本当に良かった。
