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1972年の洋楽アルバム名盤ベスト20 (10-1)

10. Ege Bamyasi – CAN

ドイツのロックバンド、カンの4作目のアルバムである。シングル「スプーン」がテレビドラマ「ナイフ」に使われ、ドイツのシングル・チャートで最高6位のヒットを記録したが、収録アルバムである本作はアルバム・チャートに入らなかったということである。タイトルはトルコ語で「エーゲ海のオクラ」を意味し、ジャケットにはオクラの缶詰のパッケージが使われている。

ポスト・パンクやニュー・ウェイヴのアーティストに影響をあたえたり、ヒップホップの楽曲にサンプリングされたりもして、西ドイツの前衛的なロック音楽を指すクラウトロックの名盤として高く評価されている。

9. Can’t Buy A Thrill – Steely Dan

スティーリー・ダンのデビューアルバムで、全米アルバム・チャートで最高17位を記録した。

ジャズやラテンを取り入れたソフトロック的な楽曲と知的な歌詞が特徴であり、後のソフィスティポップに大きな影響をあたえたと思われる。

収録曲のうち2曲ではドナルド・フェイゲンではなく、デヴィッド・パーカーがリードボーカルをとっている。また、ポップアート的でもあるジャケットアートワークは客を待つ売春婦の写真をコラージュしたもので、「キャント・バイ・ア・スリル」というタイトルに掛かっている。

8. Something/Anything? – Todd Rundgren

トッド・ラングレンの3作目のアルバムで、「瞳の中の愛(原題:I Saw The Light)」「ハロー・イッツ・ミー」といった代表曲をも含む2枚組となっている。全米アルバム・チャートでは最高29位を記録した。

2枚目のB面(サイド4)以外はすべての楽器をトッド・ラングレン自身が演奏した、ドリーム・ポップの先がけともいえる作品であり、ブルーアイド・ソウル的な音楽性はシティ・ソウルとしても再評価されたりもしている。

ソフィア・コッポラ監督の映画「ヴァージン・スーサイド」で「ハロー・イッツ・ミー」が使われるシーンが最高だったり、ソフィスティポップ的な文脈においてもひじょうに重要なアルバムなのではないかと思える。

7. Roxy Music – Roxy Music

ロキシー・ミュージックのデビューアルバムで、全英シングル・チャートで最高10位を記録した。この頃はまだブライアン・イーノがメンバーとして所属していて、その影響もあってか実験性も感じられるるグラムロック的でもあるというひじょうにユニークな作品になっている。

このアルバムよりも後にリリースされ、全英シングル・チャートで最高4位のヒットを記録した「ヴァージニア・プレイン」は当初は収録されていなかったのだが、後に追加されることになった。

1曲目に収録された「リ-メイク・リ-モデル」にはビートルズ「デイ・トリッパー」や「ピーター・ガン」のテーマ曲などが引用されている。

6. Harvest – Neil Young

ニール・ヤングの4作目のアルバムで、全米アルバム・チャートではこの年の年間1位に輝いている。全米NO.1ヒットとなった「孤独の旅路(原題:Heart Of Gold)」を収録していることでも知られる。

ナッシュヴィルでレコーディングされたカントリー的な楽曲を中心に、ジャック・ニッチェとのオーケストラ録音の楽曲なども収録されている。

5. Superfly – Curtis Mayfield

カーティス・メイフィールドによる映画「スーパーフライ」のサウンドトラックアルバムで、全米アルバム・チャートで1位に輝いた。

この前年にリリースされたマーヴィン・ゲイ「ホワッツ・ゴーイン・オン」と同様に社会問題を扱ってヒットしたソウル・ミュージックのアルバムとして知られ、貧困やドラッグなどについて歌われている。

タイトルトラックや「フレディーズ・デッド」がヒットしたほか、後のポップ・カルチャーに大きな影響をあたえた。

4. Talking Book – Stevie Wonder

スティーヴィー・ワンダーの15作目のアルバムで、全米アルバム・チャートで最高3位を記録した。「サンシャイン・オブ・マイ・ライフ」「迷信(原題:Superstition)」と2曲の全米NO.1ヒットを収録している。

若き天才アーティストとして知られていたスティーヴィー・ワンダーが、よりクリエイティヴでコンシャスな音楽性へとシフトするターニングポイントとなったアルバムともいえる。

音楽的にはシンセサイザーの効果的な使用がひじょうに印象的である。

3. Transformer – Lou Reed

ルー・リードの2作目のソロアルバムで、全英シングル・チャートで最高10位を記録した。代表曲となった「ワイルド・サイドを歩け」をはじめ、「パーフェクト・デイ」「サテライト・オブ・ラヴ」を収録している。

デヴィッド・ボウイとミック・ロンソンによってプロデュースされていて、グラムロックにカテゴライズされる場合もあるが、ニューヨークのアンダーグラウンドを文学的に描いた世界観が特徴的である。

2. The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars – David Bowie

デヴィッド・ボウイの5作目のアルバムで、全英アルバム・チャートで最高5位を記録、変幻自在のキャリアの中でもグラムロック時代の代表作とされている。

当初は「屈折する星屑の上昇と下降、そして火星から来た蜘蛛の群」なる邦題もついていたというコンセプトアルバムとしての見事さももちろんなのだが、「スターマン」「屈折する星くず(原題:Ziggy Stardust)」「ロックン・ロールの自殺者」「サフラジェット・シティ」などをはじめ、楽曲のクオリティーがことごとくすさまじい。

1. Exil On Main St. – The Rolling Stones

ローリング・ストーンズのイギリスでは10作目、アメリカでは12作目のアルバムで、全英、全米いずれのアルバム・チャートでも1位に輝いている。

「メイン・ストリートのならず者」の邦題でも知られる、最高のロックンロールバンドによる最高傑作アルバムで、2枚組18曲に、カントリーやブルースなどをも取り入れ咀嚼したロックミュージックの真髄が凝縮されている。

ロックのアルバムを何か1タイトルとなった場合、ほとんど間違いがない世界遺産レベルの作品である。

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