ジョニ・ミッチェルの名曲ベスト10

11月7日はジョニ・ミッチェルの誕生日ということで、その数ある楽曲の中から特に重要だと思われる10曲を選んでいきたい。

10. You Turn Me On, I’m Radio (1972)

ヒットソングが欲しいというレーベルからの要請に応えて書かれたという、ポップでキャッチーな楽曲。 実際に全米シングル・チャートで最高25位を記録し、ジョニ・ミッチェルにとって初の全米トップ40ヒットとなった。グラハム・ナッシュによるハーモニカがフィーチャーされている。

9. The Hissing Of Summer Lawns (1975)

初期のフォーク的な音楽から次第にジャズ色を強めていったジョニ・ミッチェルが、さらにその路線を推し進めていったアルバム「夏草の誘い」のタイトルトラックである。

8. Free Man In Paris (1974)

フォークとジャズ/フュージョンを融合した音楽性が高く評価され、全米アルバム・チャートで最高2位のヒットも記録したアルバム「コート・アンド・スパーク」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートで最高22位を記録した。「パリの自由人」という邦題がついたこの曲のモデルになっているのはアサイラム・レコードの創設者で、ジョニ・ミッチェルの友人でもあるデヴィッド・ゲフィンで、ザ・バンドのロビー・ロバートソンらとも一緒にパリに旅をした時のことがモチーフになっているという。

7. Blue (1971)

2020年に更新された「ローリング・ストーン」が選ぶ歴代アルバム・ベスト500的なリストではマーヴィン・ゲイ「ホワッツ・ゴーイン・オン」、ビーチ・ボーイズ「ペット・サウンズ」に続く3位に選ばれていた素晴らしいアルバム「ブルー」のタイトルトラックである。ピアノの演奏によるシンプルなサウンドではあるが、それだけにジョニ・ミッチェルのシンガー・ソングライターとしての魅力が堪能できる楽曲となっている。

6. Coyote (1976)

ジャコ・パストリアス、ラリー・カールトンなど、ジャズ/フュージョン系のアーティストが参加したアルバム「逃避行」の1曲目に収録された曲で、ザ・バンドの「ラスト・ワルツ」でも演奏された。

5. Help Me (1973)

「コート・アンド・スパーク」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートで最高7位のヒットを記録した曲である。ジョニ・ミッチェルの大ファンであるプリンスがアルバム「サイン・オブ・ザ・タイムズ」収録の「ドロシー・パーカーのバラッド」で歌詞の一部を引用している。

4. Big Yellow Taxi (1970)

ハワイを訪れた時に自然が破壊され、広大な駐車場が造られているのをホテルの窓から見て、ショックを受けて書かれた曲だといわれている。オリジナルは1970年のアルバム「レディズ・オブ・ザ・キャニオン」に収録されたが、後にライブ・バージョンがリリースされ、全米シングル・チャートで最高24位を記録した。曲の終盤で、ジョニ・ミッチェルが通常よりも高低差がある音程で歌った後で笑っているところもとても良い。

3. River (1971)

アルバム「ブルー」の収録曲で、シングル・カットはされていないものの、ジョニ・ミッチェルの楽曲の中でもひじょうに人気があり、クリスマスの定番曲にもなっている。恋人と別れた後の寂しいクリスマスがテーマになっていて、「ジングル・ベル」のメロディーが引用されてもいる。

2. Both Sides, Now (1969)

ジョニ・ミッチェルが飛行機に乗っている時にソール・ベローの小説「雨の王ヘンダソン」を読んでいたのだが、その中で主人公もやはり飛行機に乗っていて、眼下に広がる雲を眺めている場面があった。そこで本を置いて窓の外を見てみたことから、雲を上からも下からも見ることができるという内容のこの曲が書かれたのだという。邦題は「青春の光と影」で、1968年にジュディ・コリンズによって歌われたバージョンがリリースされ、全米シングル・チャートで最高8位のヒットを記録した。

1. A Case Of You (1971)

アルバム「ブルー」に収録されたいくつかの曲と同様に、グラハム・ナッシュとの破局について書かれた曲だといわれているが、レナード・コーエンについてなのではないかという説もあるようだ。いずれにしても、シングル・カットはされていないにもかかわらず、ひじょうに評価の高い楽曲である。歌詞にはシェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」やリルケの詩からインスパイアされたと思われるところもある。2002年にはプリンスが「ア・ケイス・オブ・U」のタイトルでカバーしている。