2021年間ベスト・ソング50
30. How Not To To Drown – CHVRCHES feat. Robert Smith
スコットランドはグラスゴー出身のシンセ・ポップ・バンド、チャーチズといえば、80年代リバイバル的な側面もその特徴であったりもしたのだが、この曲ではその世界での首領的な存在であるザ・キュアーのロバート・スミスが参加していて、しかも良い感じにハマっているというのがまた良いのではないだろうか。
29. ビートの惑星 – モーニング娘。’21
天才・佐藤優樹が参加した最後のシングルに収録された3曲のうちの1曲。モーニング娘。としては、実に通算70作目のシングルとなる。シングル収録曲の中で唯一、つんく♂楽曲ではなく、それゆえにウェットさに欠けているのだが、たとえば嵐ファンに刺さりつつあるといわれてもいるように、様々な面において一般大衆に知られている分に対してとてつもないポテンシャルを秘めているこのグループのまた別の可能性を提示しているようでもある。
28. Solar Power – Lorde
デビュー以来、あまりにも無双状態が続いてもいたため、3作目となるアルバムに対しての反応は絶妙に微妙とでもいうようなものだが、やはりその才能は突出しているし、これもまた新境地に挑んだ意欲作として評価するに値するし、実際に同時代のポップスとして優れているようには感じられる。
27. The Only Heartbreaker – Mitski
80年代ノスタルジア的なシンセポップなどと呼ばれる音楽があるわけだが、実際には当時の感覚をあるベクトルで理想化して、脱臭しているとも考えられる。しかし、それも一つのアートフォームとして、当時のいわゆるオリジナルのそれとは別のものとして、必然性や切実さと共にじゅうぶんに楽しむことができる。
26. WUSYANAME – Tylor, The Creator feat. YoungBoy Never Broke Again & Ty Dolla $ign
ミュージックビデオからも感じ取れるように、ノスタルジートリップ的な楽曲のように感じられたのだが、その解釈はけして間違いではないようである。もしもそうだとしたところで、その必然性が感じられる時代でもある訳で、いまだに世相を反映してもいるポップ・ミュージックとしてはひじょうに正しい。
25. Amoeba – Clairo
ベッドルームポップ的な期待の新人ということでデビューアルバムはしかるべき筋でなかなか話題になったような印象があるが、順当に大人化しているようでひじょうに安心というか、インパクトは薄れたかもしれないが、望ましい成長を遂げているともいえる。
24. Rainforest – Noname
シカゴ出身のラッパー、ノーネームのナチュラルでオーガニックにも感じられるサウンドに乗せて、ポエトリーディング的にも思えるボーカルスタイルでプロテスト的な内容をも歌ってしまうという、実はひじょうに新しいタイプの音楽ではないかというような気がする。
23. Peaches – Justin Bieber feat. DanielCaesar & Giveon
ジャスティン・ビーバーといえばアイドル的存在のアーティストとして見られている場合もいまだに多いようには感じるのだが、メインストリームの男性アーティストのボーカルでこれほどニュアンスを感じさせる人もいないのではないかと思うほどボーカリストとしての才能は際立っていて、それはこの曲でもじゅうぶんに生かされているように思える。
22. Just for me – PinkPantheress
TikTokに投稿した音楽がきっかけで注目をあつめるようになったという、2001年生まれのフレッシュなアーティストがピンンク・パンサレスなのだが、その音楽の特徴はいわゆるベッドルームポップ的なサウンドにドラムンベースや2ステップといったダンスミュージックの要素を入れているところで、この曲ではやや抑えめになっているものの、エディットやサンプリングのセンスに光るものが感じられたりと、今後がひじょうに期待できる。
21. breadwinner – Kacey Musgraves
2018年にリリースした「ゴールデン・アワー」がクロスオーバーヒットとなって注目をあつめたカントリー・アーティストのケイシー・マスグレイヴスだが、最新アルバムの「スター・クロスド」には自身の離婚が大きく影響しているという。収録曲であるこの曲においてもその要素は見られ、悔恨や諦念のようなものがメランコリックに歌われている。