2021年間ベスト・ソング50

20. deja Vu – Olivia Rodrigo

かつての恋人が現在は自分の友人と付き合っている悲しみがとまらない状況ではあるのだが、ティーンエイジ・センセーションの域を遥かに超えて大ブレイクしたオリヴィア・ロドリゴは、これを客観的ともいえる視点で描写する。ストロベリーアイスクリームや「glee/グリー」の再放送やビリー・ジョエルの「アップタウン・ガール」といったディテールもまた効いていて、彼女はこれらが自分だけに起こった特別なことだと思っているのかもしれないが、すべては使いまわしなのだと歌われる。

19. Good Ones – Charli XCX

エレクトリックなダンスポップというチャーリー・XCXがそもそも得意とするジャンルの新曲なのだが、パンデミック下のベッドルームポップ的なアルバムがあったりした後だけに、そのありがたさもまた格別というものである。さらにディープにオルタナティヴ・ポップ化してもいてとても良い。

18. White Dress – Lana Del Rey

「ケムトレイルズ・オーヴァー・ザ・カントリー・クラブ」「ブルー・バニスターズ」と1年に2枚もの素晴らしいアルバムをリリースしたラナ・デル・レイの、これは前者の1曲目に収録されていた曲である。19歳で夜勤のウェイトレスとして働き、ザ・ホワイト・ストライプスを聴いていた頃を回想する曲になっているのだが、ノスタルジックだったりエモーショナルになったりするボーカルパフォーマンスがとても素晴らしい。

17. Take My Breath – The Weeknd

新型コロナウィルスによるパンデミック以前にリリースした「ブラインディング・ライツ」が尋常ではないロングヒットを記録したりしている間に、ケニー・Gをフィーチャーしたトラックを発表するなど、ノスタルジアが止まらないザ・ウィークエンドだが、この新曲もその延長線上にあるともいえ、やはりとても良い。

16. MONTERO (Call Me By Your Name) – Lil Nas X

ビリー・レイ・サイラスをフィーチャーした「オールド・タウン・ロード」の大ヒットから2年、リル・ナズ・Xがまたしてもヒットチャートを席巻したわけだが、タイトルのモンテロはリル・ナズ・Xの本名から取られていて、サブタイトルは映画「君の名前で僕を呼んで」からで、ゲイロマンスをテーマにした楽曲となっている。

15. Easy On Me – Adele

アデルの6年ぶりとなるアルバム「30」のレヴューには賛否両論があったようだが、このカムバックシングルを聴いた時にはやはりボーカルの力に圧倒され、一般大衆からも支持されてアメリカ、イギリスをはじめ多くの国々のヒットチャートで1位に輝いたのも納得である。

14. Hard Drive – Casandra Jenkins

サックスも最高なソフィスティポップ的なグルーヴに乗せて囁くように歌われたり、ポエットリーディング的でもあるニューヨークのシンガーソングライター、カサンドラ・ジェンキンスのボーカルもまたとても良い。

13. Thot Shit – Megan Thee Stalion

2020年にカーディ・Bとリリースした「WAP」が大ヒットしたばかりか保守的な人々を怒らせたりいろいろな年間ベストリストで1位に選ばれたりもしていたミーガン・ジー・スタリオンの、これもまた中毒性が高くとてもカッコいいヒップホップトラックである。男性がセクシスト的に用いがちな「Thot」という単語を再定義する目的もあり、アティテュード的には「WAP」にも通じるところがある。

12. I am not a woman, I’m a god – Halsey

ホールジーの「イフ・アイ・キャント・ハヴ・ラヴ、アイ・ウォント・パワー」は妊娠と出産をテーマにしたコンセプトアルバムで、ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーとアッティカス・ロスをプロデューサーに迎えた意欲作なのだが、先行シングルとなるこの曲においてもそのエッセンスを感じ取ることができる。

11. Like I Used To – Sharon Van Etten & Angel Olsen

シャロン・ヴァン・エッテンとエンジェル・オルセンというオルタナティヴ・シンガーソングライターファンにとっては夢のコラボレーションともいうべき楽曲なのだが、アンセミックでありながらピュアな音楽の魅力に満ち溢れて、それぞれのボーカルの良さもよく生かされている。

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