「M-1グランプリ2019」について。
敗者復活戦を含め録画したものをテレビで最初から最後まで落ち着いてじっくりと観られるのは早くても水曜日の夜になるのだが、とりあえず何かをやりながらとか一部音声だけとかで、決勝戦は全体に把握することができたので、その時点での感想のようなものを記録しておきたい。
まず、審査員の誰かも言っていたように、大会史上最高だったのではないかといえるぐらい、決勝進出者のネタのクオリティーが高く、大いに盛り上がったのではないかと思う。
今年の準決勝戦はライブビューイングが行われ、私も多摩センターの映画館に観に行ったのだが、その直後に発表された決勝進出者はひじょうに攻めたものにも思われたが、同時に納得がいくものでもあった。決勝進出の9組中、かまいたち、見取り図を除く7組が初進出のコンビであった。そして、人気が高かったり実力があると認められたりしていたコンビの多くが敗退していた。準決勝戦を観ずにこの結果だけを知ったならば、何らかの意図があってこうしたのではないかと勘ぐったような気もするのだが、実際には観ていたのでこれを順当だと思った。思ったのだが、これはかなり攻めたなという印象も受けた。
一人のお笑いファンとして見た場合にはとても魅力的なラインナップに違いないのだが、ゴールデンタイムのバラエティー番組として見た場合、出演者があまりにも地味すぎるのではないだろうか。などと、別にしなくても良い心配までしてしまった。出場者の知名度、人気だけを考えると、準決勝で敗退した16組が争う敗者復活戦の方が何倍も豪華である。
しかし、そもそも「M-1グランプリ」という大会には、それほど有名ではない漫才師がこれをきっかけに一夜にしてスターになるという側面もあったはず、というかそもそもそういうものであったはずで、そういう意味ではとてもらしくなったと言えなくもない。
個人的には大好きなミルクボーイとからし蓮根が選ばれたことが、とても嬉しかった。ミルクボーイ についてはこれまでにこのブログでも取り上げたことがあるが、独自のシステムによる漫才をかなり以前から継続して行っている。それがなんとなく好きではあったのだが、それゆえの限界をも感じていた。昨年の「M-1グランプリ」予選においても、「SASUKE」「たません」をテーマにした同様のシステムによる漫才を披露して、準々決勝にまでは進出していた。この時点で私はなんとなくこれがクセになって、当時、一緒に仕事をしていた若者に動画を見せたりしていた。彼はこのシステムはすごい発明であり、露出さえ増えれば絶対に売れるはずだ、というようなことを言っていた。このシステムによる漫才にすっかり慣れていて、特に新鮮さも感じていなかった私は、初見の人にはそんな風に見える場合もあるのか、とは思ったものの、やはりそんなに爆発的にウケるものでもないのだろうな、とも思っていた。
その後、ミルクボーイ がYouTubeで沢山のネタを公開していることを知り、おそらくその全部を観た。いくつかのネタについては、定期的にリピートして観ることもあった。特に好きなのがファミリーレストランのサイゼリヤをテーマにしたものと、できる男をテーマにしたネタにおける「不二家でワープロ」というフレーズである。
秋ぐらいにまたミルクボーイのネタを検索していると、関西のお笑いの賞のようなものでグランプリを獲得していて驚いた。その時に披露していたのが、今回、「M-1グランプリ2019」の最終決戦でもやっていた、モナカについてのネタであった。同じシステムでありながらどんどん面白くなっているな、という感想を持った。
そして、「M-1グランプリ」の予選動画がGYAO!で公開されはじめ、それを次々と視聴し続けていくという年末恒例の風物詩が訪れるのだが、ミルクボーイが3回戦で披露していたコーンフレークのネタがとても面白かった。しかも、かなりウケているようだ。それまで、ミルクボーイのネタは個人的には好きだが、それほど一般的に大いにウケるようなものでもなく、システム漫才であるがゆえの限界もあるだろうとなんとなく感じていたのだが、このネタのクオリティー、そしてウケはかなりのものだと思ったのである。
そして、多摩センターの映画館で観た準決勝戦のライブビューイングだが、ここでもミルクボーイ はコーンフレークのネタをやっていた。3回戦よりもネタ時間が長くなった分、追加された部分がまたとても面白かった。ライブビューイング会場でもかなりウケていて、ミルクボーイが一番良かったのではないかと言っている人達の声も聞いた。その後、電車の中で視聴していたファイナリスト発表記者会見のようなもので、MCであった麒麟の川島明からベテランのような雰囲気をいじられ、令和初の「M-1グランプリ」に自分のような角刈りが出てもいいのか、などとボケてもいた。
「M-1グランプリ2019」では一本目でやはりコーンフレークのネタをやり、これが見事にハマったどころか、大会の歴代最高得点を叩き出したのだという。自分が面白いと思っていたネタが高く評価され、松本人志、上沼恵美子といった大御所が大爆笑しているのを観るのはこんなにも嬉しいことなのか、と感動すら覚えていた。関西ではそこそこ露出もあるのかと思いきや、テレビでネタを披露するのが、今年はこれが初めてだという。
大会の流れとしては、トップバッターのニューヨークが独自のセンスを生かした歌ネタによって良い感じで空気を温め、審査員との絡みもまたらしさが出ていてとても面白かった。2組目で早くも優勝候補の1組であったかまいたちが登場し、鉄板ネタである「UFJ」が大爆発、圧倒的な実力を見せつけた。今年のシステム変更点の一つとして、敗者復活戦の勝者の発表が、登場順を決める笑神籤(えみくじ)が引かれた後になったことが挙げられる。ここでは順当に昨年まで3年連続準優勝だったが、今年はまだかの準決勝で敗退となった和牛が勝ち上がった。安定したいクオリティーで高得点を叩き出すがかまいたちには及ばず、この時点で2位に着けた。
序盤でこんなに盛り上がってしまい、もしかすると尻すぼみになってしまうのではないかという懸念もこの時点では無くもなく、次に選ばれたのがすゑひろがりずであった。かつて、みなみのしまというコンビ名で活動していた頃から変わらぬ日本の伝統芸能を取り入れた漫才である。準決勝の時点で確かにものすごくウケていたのだが、袴姿で扇子と鼓を持ってネタをやるというスタイルはいわゆる一般的な漫才の概念からはわりと遠いものであり、「M-1グランプリ」で高く評価されるのは難しいのではないかとも思っていた。そういった訳なのでファイナル進出の時点で快挙という印象だったのだが、さすがに決勝戦、しかもこの日のかまいたち、和牛の後ではどうだろうかと思った。ところがこれもまた大いにウケ、審査員からも高評価である。
そして、次がからし蓮根である。個人的に現在の若手漫才コンビの中では一番面白いと思っていて、劇場で観た時のグルーヴ感がとても印象的である。やはりとても面白く、この日の流れの中ではややオーソドックスな印象も受けた。過去の「M-1グランプリ」における上沼恵美子のコメントには個人的に共感できないものも少なくはないのだが、今回のからし蓮根に対するコメントには概ね同意であった。審査員からも高評価で、この時点でかまいたち、和牛に次ぐ3位であった。個人的に大好きなコンビなのであわよくば優勝争いに絡んでほしいというような思いもあったのだが、今回はこれで丁度いいと思えた。からし蓮根そのものが期待に応える十分な出来だったのだが、それ以外のクオリティーがまた素晴らしく、キャリアやこれまでの経緯などを考えると、実に丁度よかったのではないかという印象を持ったのである。
昨年に続き2年連続出場の見取り図はまた新しいアプローチでのネタを披露し、ウケ、審査員の評価共に初出場であった昨年を大きく上回り、この時点で3位であった。個人的には「M-1グランプリ」以上に大好きな関西ローカルの年末のお笑い番組「オールザッツ漫才」で優勝したコンビが躍進したという点においても、とても喜ばしいことであった。
この流れで次がミルクボーイで大爆発、「M-1グランプリ」史上最高得点で、一気に1位に躍り出た。ウケもかなりのものだったので、本人達にも手応えはあっただろうが、審査員による得点が一つずつ発表される度に二人の表情に喜びが広がっていく様は感動的であった。
続くオズワルドは東京よしもとの若手だが、ここまで関西の出身であったりベースとするコンビの素晴らしいネタが続き、しかもミルクボーイが爆発した直後にもかかわらず、自らのペースでクオリティーの高いネタをやり切った印象があり、これもまた高評価であった。
インディアンスはとにかく勢いと底抜けの明るさでウケをガンガン取っていくタイプのコンビであり、優勝候補に挙げられることもあった。最近の「M-1グランプリ」においてはこのタイプのコンビがわりと評価されがちだという印象もなんとなくあって、もしかすると爆発するのではないかという気もしていたのだが、出番順の流れもあってか、ウケてはいたものの最終決戦に進出するほどではなかった。
笑神籤で最後まで残ったのがファイナリスト中、よしもと以外の事務所に所属する唯一のコンビ、ぺこぱであった。よしもと以外の芸人のネタを観る機会がそれほど多くはない私だが、今年の「M-1グランプリ」予選でのぺこぱの漫才はとても新しくて面白いと思っていて、準決勝戦のライブビューイングにおいても、これは決勝戦で観たいと思わされた。これもまた見事にハマり、和牛を超える得点で、最終決戦に進出となった。
様々なタイプの漫才があり、それぞれにおいて高いクオリティーであった。準決勝戦から決勝進出のコンビを選ぶにあたり、純粋にクオリティー重視で選ばれたと思われるところ、そして、各コンビが決勝戦においてもその実力をしっかりと発揮できたところに、今大会の成功の理由があったように思える。
最終決戦を戦ったのはミルクボーイ 、かまいたち、ぺこぱだったが、いずれもひじょうに面白く、しかし審査員の投票ではミルクボーイが圧倒し、優勝を決めた。
その後、GYAOでは小籔千豊がMCを務める反省会が配信されていて、一瞬しか観られなかったのだが、パンクブーブーの佐藤哲夫や笑い飯の哲夫といった過去のファイナリストがネタの分析をするというような、お笑いファンにはたまらない内容になっている感じであった。深夜の千鳥がファイナリストとストロングゼロを飲みながら話をする打ち上げだけはほぼちゃんと観ることができたのだが、これもかなり面白かった。
敗者復活戦と決勝戦を録画したものは近日中の時間がある時にテレビでちゃんと観るとして、あとは今年も29日に大阪には行けそうにないので、昨年のようにMBSが「オールザッツ漫才」を配信してくれることが叶えば、今年のお笑いについて思い残すことはない。
3件のコメント
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Within the early 1900s, nonetheless, a Japanese scientist sought to detect one other style — that of the savory seaweed widespread in Japanese cooking.