1978年の洋楽ロック&ポップス名曲ベスト20
1978年といえば洋楽ではディスコとパンク/ニュー・ウェイヴ、邦楽では歌謡ポップス界の大スター達にまだまだ人気があったものの、ニュー・ミュージックがメインストリーム化していた。サザンオールスターズのデビューもこの年である。それはそうとして、この年にアメリカやイギリスでリリースされたポップ・ソングから、重要だと思われる20曲を選んでいきたい。
20. Roxanne – The Police
ポリスのデビュー・アルバム「アウトランドス・ダムール」からの先行シングルで、この翌年に再リリースされ、全英シングル・チャートで最高12位のヒットを記録した。ニュー・ウェイヴ勢の中でもレゲエからの影響が感じられたり、スティングのボーカルが特徴的だったりで日本でも人気があったポリスの最初のメジャーなヒット曲である。
19. Do Ya Think I’m Sexy – Rod Stewart
ロック・シンガーのロッド・スチュワートがディスコ・ミュージック」を取り入れ、大ヒットを記録した曲である。収録アルバムの邦題は「スーパースターはブロンドがお好き」で、これも勢いが感じられてとても良い。アメリカやイギリスのシングル・チャートで1位に輝き、日本のオリコン週間シングルランキングでも最高17位を記録した。
18. You Make Me Feel (Mighty Real) – Sylvester
元々はシングル「ダンス(ディスコ・ヒート)」のB面に収録されていたのだが、ディスコで人気だったことからシングルA面としてリリースされ、全英シングル・チャートで最高8位を記録した。ディスコ・クラシックであり、LGBTQアンセムとしても知られている。
17. Miss You – The Rolling Stones
ローリング・ストーンズのアルバム「女たち」からの先行シングルで、全米シングル・チャートで1位に輝いた。これもまた、ディスコ・ブームを反映した楽曲であり、ロックの最高峰といわれるようなバンドですらこのブームとは無関係ではいられなかったことを象徴しているようである。
16. Down In The Tube Station At Midnight – The Jam
ザ・ジャムはモッズ・リバイバルのバンドであり、パンク・ロックのシーンから登場したバンドなのだが、デビュー当時にはまだ10代であったポール・ウェラーの怒れる若者的なイメージもひじょうに支持されていたようである。この曲は3作目のアルバム「オール・モッド・コンズ」からの先行シングルで、全英シングル・チャートで最高15位を記録した。
15. Public Image – Public Image Ltd.
元セックス・ピストルズのボーカリストであったジョニー・ロットンが、ジョン・ライドンとして新たに結成したバンド、PILことパブリック・イメージ・リミテッドのデビュー・シングルで、全英シングル・チャートで最高9位を記録した。セックス・ピストルがマネージャーやマスメディアからいろいろな意味において、搾取されたことに対する思いが歌われてもいる。
14. Wuthering Heights – Kate Bush
エミリー・ブロンテの小説「嵐が丘」にインスパイアされた、ケイト・ブッシュのデビュー・シングルで、全英シングル・チャートで1位に輝いた。ケイト・ブッシュは当時まだ10代であり、天才少女あらわる的なスポットライトの当たり方をしていたのではないか、ということが想像される。日本ではテレビのバラエティー番組「恋のから騒ぎ」のオープニングテーマ曲としても知られているようだ。
13. Pump It Up – Elvis Costello & The Attractions
エルヴィス・コステロがジ・アトラクションとレコーディングした最初のアルバム「ジス・イヤーズ・モデル」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで最高24位を記録した。テンションが高く勢いが感じられる演奏やボーカルとシニカルなトーンが最高に魅力的である。ボブ・ディラン「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」にインスパイアされてもいるようである。
12. Another Girl, Another Planet – The Only Ones
イギリスのパンク/ニュー・ウェイヴ・バンド、ジ・オンリー・ワンズのデビュー・アルバムに収録されていた曲だが、当時はヒットしていなかったようだ。様々なアーティストによってカバーされたり、映画のサウンドトラックに使われたりしているうちに、パンク/ニュー・ウェイヴ・クラシックの一つとして認識されるようになった、ポップでキャッチーな楽曲である。
11. Hong Kong Garden – Siouxsie & The Banshees
スージー&ザ・バンシーズのデビュー・シングルで、全英シングル・チャートで最高7位を記録した。スキンヘッドの人種差別主義者を批判した曲で、ニュー・ウェイヴの最も初期のヒット曲の一つとして知られている。
10. Le Freak – Chic
ナイル・ロジャース、バーナード・エドワーズを中心とするディスコ・ポップ・バンド、シックの代表曲で、「おしゃれフリーク」の邦題でも知られる。R&Bやファンクを基調とする音楽に、ロキシー・ミュージックからインスパイアされたというヨーロッパ的なイメージをかけ合わせた音楽が大いに受けた。全米シングル・チャートで初の1位を記録している。
9. Rock Lobster – The B-52’s
B-52’sの初期の代表曲で、実在や架空の海洋生物が登場するパーティー・ソングである。全米シングル・チャートでの最高位は56位だが、知名度はひじょうに高い。カナダでは1位になっているようだ。音楽活動を休止していたジョン・レノンがナイトクラブでこの曲を聴き、妻であるヨーコ・オノの音楽と共通するものを感じたことが、復帰アルバム「ダブル・ファンタジー」につながっていったともいわれている。
8. One Nation Under A Groove – Funkadelic
ジョージ・クリントンを中心とするファンク・ロック・バンド、ファンカデリックの代表曲で、全英シングル・チャートで最高9位を記録した。ザ・スタイル・カウンシルがライブでカバーしていたことでも知られる。
7. I Will Survive – Gloria Gayneor
グロリア・ゲイナーによるディスコ・クラシックで、アメリカやイギリスのシングル・チャートで1位に輝いた。日本では「恋のサバイバル」の邦題で知られ、布施明によるカバー・バージョンがヒットしたりもしていた。その内容から、新型コロナウィルス禍において再注目されたりもした。
6. The Model – Kraftwerk
ドイツ出身の元祖テクノ・ポップグループ、クラフトワークによるアルバム「人間解体」に収録されている曲である。イギリスでは1981年に英語バージョンがシングル「コンピューター・ラヴ」のB面に収録され、話題になったのでシングルのA面として発売したところ、全英シングル・チャートで1位に輝いた。
5. Because The Night – The Patti Smith Group
プロデューサーが共通していたことがきっかけとなり、ブルース・スプリングスティーンがパティ・スミスに提供した楽曲で、全英シングル・チャートで最高5位のヒットを記録した。ブルース・スプリングスティーン自身もライブでレパートリーにしているほか、様々なアーティスト(日本では戸川純やUA)によってカバーもされている。
4. Ever Fallen In Love (With Someone You Should’nt’ve) – Buzzcocks
パンク・ロックのバンドの中でも恋愛をテーマにした楽曲がひじょうに多いバズコックスの代表曲で、全英シングル・チャートで最高12位を記録した。タイトルはツアー先のテレビで流れていた映画でのマーロン・ブランドのセリフからインスパイアされたものだという。
3. Teenage Kicks – The Undertones
北アイルランド出身のパンク・ロックヴバンド、アンダートーンズのデビュー・シングルで、全英シングル・チャートで最高31位を記録した。青春パンク的な音楽のエッセンスを凝縮したような素晴らしい楽曲で、ひじょうに影響力が強かった伝説のDJ,ジョン・ピールはこの曲が好きすぎて、その墓石にもこの曲の歌詞の一部を彫ったほどである。
2. (White Man) Hammersmith Palaus – The Clash
ザ・クラッシュが初めてセルフ・プロデュースしたシングルで、全英シングル・チャートでは最高32位を記録した。レゲエのライブに行ったのだがつまらなかったという感想から、反暴力や富の分配といった社会的イシューにまで広がっていく、パンク詩人としての才能がスパークしまくったものであり、音楽的にもデビュー当初のストレートなパンク・ロックから、より深みを増していった時期の勢いが感じられるものになっている。
1. Heart Of Glass – Blondie
ニュー・ウェイヴとディスコ・ポップが絶妙にミックスされた、当時における最新型のポップ・ソングであり、アメリカやイギリスなどのシングル・チャートで1位に輝いた。この曲を収録した「恋の平行線」もこの時代を代表する最高のポップ・アルバムである。