1992年の洋楽アルバム名盤ベスト20
1992年にリリースされた洋楽アルバムからこれは名盤なのではないかと思われる20タイトルを挙げていきたい。
20. Harvest Moon – Neil Young
ニール・ヤングの19作目のアルバムで、全米アルバム・チャートで最高16位、全英アルバム・チャートで最高9位を記録した。
「フリーダム」「傷だらけの栄光」といったアルバムやライブパフォーマンス(1991年のライブアルバム「ウェルド:ライブ・イン・ザ・フリー・ワールド」に記録されているに)やグランジロッカーたちのリスペクトなどによって、新しい世代にも人気が広がっていたタイミングでのリリースだったが、シンガー・ソングライター的な1972年のヒットアルバム「ハーヴェスト」の続編的な内容であり、共通するミュージシャンたちも参加している。
19. Love Symbol – Prince & The New Power Generation
プリンスといえば80年代にリリースされた作品にあまりにも圧倒的なものが多く、このアルバムなどは影が薄くなりがちでもあるが、実はかなり良いので聴き直したい。
正式なタイトルはシンボルマークのようなもので、当時の音楽雑誌などでは特殊なフォントでそれを表しているものもあったが、「ラヴ・シンボル」などの呼び方でも良いことになっているようだ。
メロドラマ風のコンセプトアルバムともなっていて、この辺りにまで入り込んだ上で聴くと、より楽しめるようになっている。
全米アルバム・チャートでは最高5位、全英アルバム・チャートでは1位に輝いている。
18. Rage Against The Machine – Rage Against The Machine
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのデビューアルバムで、全米アルバム・チャートで最高45位、全英アルバム・チャートでは最高17位を記録した。
ジャケットには1963年に仏教徒差別に抗議して焼身自殺をしたベトナムの僧侶の写真が使われている。
政治的なメッセージを含む歌詞を、ラップとヘヴィーメタルとをミックスしたような音楽に乗せているのが特徴である。
「Fuck you, I won’t do what you tell me」というフレーズが連呼される「キリング・イン・ザ・ネーム」は、2009年のクリスマスの週に、ポップミュージックの高度なマーケティング化に反対していると思われる音楽ファンたちの活動によって、全英シングル・チャートで1位に輝いている。
17. Wish – The Cure
イギリスのインディーロックバンド、ザ・キュアーといえば漆黒のイメージだが、このアルバムは赤いジャケットがひじょうに目立つ上に、全英アルバム・チャートで1位、全米アルバム・チャートで2位とひじょうに売れたことで知られている。
通常のザ・キュアーらしい暗い曲もひじょうに多いのだが、全英シングル・チャートで最高6位、全米シングル・チャートでも18位のヒットを記録した「フライデー・アイム・イン・ラヴ」のようなポップでキャッチーな曲も収録している。
16. Ingénue – k.d. Lang
カナダ出身のシンガーソングライター、k.d.ラングの2作目のアルバムで、全米アルバム・チャートで最高18位、全英アルバム・チャートでは最高3位のヒットを記録した。
カントリー音楽に影響を受けたポップスが特徴のアーティストだが、このアルバムではよりポップ寄りで、ひじょうに聴きやすくなっている。
15. Going Blank Again – Ride
イギリスはオックスフォード出身のインディーロックバンド、ライドの2作目のアルバムで、全英アルバムチャートで最高5位を記録した。
シューゲイザーの代表的なバンドとして知られるライドだが、好評だったデビューアルバム「ノーホエア」から音楽的な進化が見られるのだが、ピュアネスは後退したとも見られがちである。
8分以上にも及びプログレッシヴさも感じさせる「リーヴ・ゼム・オール・ビハインド」は全英シングルチャートで最高9位を記録し、次にシングルカットされた「ツイステレラ」もギターポップ的なキャッチーさがあってとても良い。
14. Your Arsenal – Morrissey
モリッシーの3作目のソロアルバムで、全英アルバム・チャートで最高4位を記録した。
デヴィッド・ボウイとの仕事などで知られるミック・ロンソンをプロデューサーに迎え、グラムロック的な楽曲もいくつか収録されている。
この年、マッドネスが主催するフェスティバルのステージにイギリス国旗に身を包んで登場したことが、一部の楽曲の内容とも相まって極右的だと批判された。
13. Copper Blue – Sugar
アメリカのオルタナティヴロックバンド、ハスカー・ドゥの元メンバーが新たに結成したバンド、シュガーのデビューアルバムで、全英アルバムチャートで最高10位、「NME」ではこの年の年間ベストアルバムに選ばれた。
前年のニルヴァーナ「ネヴァーマインド」の大ヒットでアメリカのオルタナティヴロックに注目があつまる状況下、ラウドでヘヴィーである上にポップでメロディアスでもあったこのアルバムは大いに受けた。
イギリスではプライマル・スクリームやマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ティーンエイジ・ファンクラブなどと同じクリエイション・レコードからリリースされていた。
12. Henry’s Dream – Nick Cave & The Bad Seeds
ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズの7作目のアルバムで、全英アルバム・チャートでは最高29位を記録した。
カルト的な人気はずっと高かったニック・ケイヴだが、このアルバムではストレートなラヴソング、その名も「ストレイト・トゥ・ユー」や息子に向けて書かれたという「パパ・ウォーント・リーヴ・ユー・ヘンリー」をはじめ、楽曲に深みが増し、間口が広くなっているようにも感じられる。
しかし、ニック・ケイヴ自身はこのアルバムのサウンドプロダクションを気に入っていなく、翌年にライブアルバム「ライヴ・シーズ」をリリースしている。
11. Check Your Head – Beastie Boys
ビースティ・ボーイズの3作目のアルバムで、全米アルバム・チャートで最高10位を記録した。
デビューアルバムの「ライセンス・トゥ・イル」が全米アルバム・チャートで1位に輝いたのに対し、2作目の「ポールズ・ブティック」はいまや名盤としての評価が定着しているものの、当時は理解されにくくコマーシャルスーサイド、商業的自殺などともいわれていたが、実は全米アルバム・チャートで最高14位とまあまあ売れてはいた。
そこからこのアルバムでは10ということなので、人気はやや回復したようにも思われがちだったのだが、特徴としてはバンドのルーツでもあったパンクロックの要素を取り入れ、メンバーが楽器も演奏したということが挙げられる。
ヒップホップ、インディーロック、いずれものファンから積極的に支持されるようになりはじめた印象がある。