2021年間ベスト・アルバム・トップ50

10. If I Can’t Have Love, I Want Power – Halsey

ホールジーの4作目のアルバムで、プロデューサーにナイン・インチ・ネイルのトレント・レズナーとアッティカス・ロスをプロデューサーに迎え、自身の妊娠と出産をテーマにしたコンセプトアルバムである。根源的な恐怖と歓喜とがディープなシンセサウンドとエモーショナルなボーカルによってヴィヴィッドに表現されている。全米アルバム・チャートでは最高2位を記録した。

9. I Know I’m Funny haha – Feye Webster

アメリカのシンガーソングライター、フェイ・ウェブスターの4作目のアルバム。カントリーやフォーク的な要素がやや感じられもするが、程よいライト感覚が心地よくもある。ジャケットアートワークの写真も最高。

8. Carnage – Nick Cave & Warren Ellis

新型コロナウィルス禍だからこそのニック・ケイヴがウォレン・エリスとコラボレートしたアルバムで、とにかく歌と演奏の力に尽きる。

7. Valentine – Snail Mail

スネイル・メイルというのはアメリカのシンガーソングライター、リンジー・ジョーダンのソロプロジェクトなのだが、2作目となるこのアルバムでは90年代オルタナティヴ・ロックというかグランジ的な影響も感じさせながらも、自身の精神面を深く掘り下げて告白しているような切実さがサウンドやボーカルにも表れていてとても良い。

6. Glow On – Turnstyle

アメリカのハードコアパンクバンド、ターンスタイルの3作目のアルバムである。このジャンルをそれほど好まない音楽ファンというのもわりといるのではないかと思えるのだが、ここではそれをベースとしながらもより幅広い人たちにアプローチできそうな、実験ポップ的な特徴がひじょうに際立っていて興味深い。

5. Call Me If You Get Lost – Taylor, The Creator

アメリカのラッパー、タイラー・ザ・クリエイターの6作目のアルバムである。今日、一般的な音楽リスナーでヒップホップにはそれほど興味がない人たちがとりあえず聴きはじめてみようかと思った時に、最も間違いがないうちの1人がこのタイラー・ザ・クリエイターであろう。様々なジャンルの音楽を参照したトラックのおもしろさもかなり楽しめる。

4. Collapsed In Sunbeam – Arlo Parks

2021年のわりと初めの方にリリースされた頃にはわりと話題になってはいたのだが、年間ベストでも忘れてはいけない、アーロ・パークスのニューソウル的なデビュー・アルバムである。パンデミック下でささくれだった精神をも癒す効果があるとても良いアルバムだと評判になったし、聴き直してもやはりそう感じられる。

3. Sour – Olivia Rodrigo

「ドライヴァーズ・ライセンス」の年始からの大ヒットで一躍スターダムにのし上がったような感じもするオリヴィア・ロドリゴだが、その才能は本物だと確信させたのがこのデビューアルバムである。10代ならではの感覚で書かれた曲も多く、それがひじょうに素晴らしいのだが、全世代を納得させるクオリティーと旬な感じとが両立した素晴らしい作品だといえる。

2. Happier Than Ever – Billie Eilish

ポップセンセーション的な脚光の浴び方からいろいろあったが、それを乗り越えてリリースされた2作目のアルバムはアーティストとしての確実な成長が感じられ、よりオーセンティックになった素晴らしい作品である。ポップ・アイコンであるだけではなく、ボーカリストとしての表現力も確実に上がっているように思える。

1. Sometimes I Might Be Introvert – Little Simz

イギリスのR&Bアーティスト、リトル・シムズの4作目のアルバムである。この作品もまた、新型コロナウィルス禍の影響をひじょうに受けているようにも思えるのだが、ナチュラルなニューソウル的なサウンドに乗せて、コンシャスであったりメッセージ性が強かったりもするボーカルが心地よくもしっかりと伝えるべきことを伝えようともしている。