2007年の洋楽ロック&ポップス名曲ベスト20(20-11)

2007年にリリースされた洋楽のロックやポップスなどの曲から、これは名曲なのではないかというものを挙げていく回である。

20. Atlas – Battles

バトルズはアメリカのオルタナティヴ・ロックバンドで、マスロックなどと呼ばれるエクスペリメンタルな音楽性で高評価を得た。アルバム「ミラード」から先行シングルとしてリリースされたこの曲はヒットチャート上はそれほど大きな動きは見せなかったものの、各メディアの年間ベストにリストアップされたり、ビデオゲームやテレビCMに使われがちだったりもして、このサブジャンルの代表曲としてしても知られている。

19. Archangel – Burial

イギリスの音楽プロデューサー、ブリアルの2作目のアルバム「アントゥルー」に収録され、シングルカットもされた曲である。ダブステップやUKガラージなどと呼ばれるイギリス発祥のダンスミュージックを、また一歩先に進めたような画期的な作品で、ダークな世界観と刺激的なサウンドプロダクションが特徴的である。

18. Icky Thump – The White Stripes

ザ・ホワイト・ストライプスの6作目にして最後のアルバム「イッキー・サンプ」のタイトルトラックで、先行シングルでもある。全英シングル・チャートでは、最高2位のヒットを記録した。ヘヴィーなブルーズ・ロックに乗せて、歌われているのはアメリカの移民政策に対する異議申し立てである。

17. Crimewave – Crystal Castles vs HEALTH

カナダのオルタナティヴ・ロックバンド、クリスタル・キャッスルズがアメリカの同じくオルタナティヴ・ロックバンド、ヘルスとコラボレーションした楽曲で、エレクトロニック・ミュージックとオルタナティヴ・ロックとの融合が、それまでとはまた別の新次元で実現している。カウンター的かつフレッシュであり、ある意味ひじょうに健全だということができる。

16. Your Love Is Not Enough – Manic Street Preachers

ウェールズのみならず、イギリス全体の国民的ロックバンドにいつの間にかなっていたマニック・ストリート・プリーチャーズの6作目のアルバム「センド・アウェイズ・ザ・タイガーズ」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高2位を記録した。90年代半ばの日本の少なくとも都市部ではわりと流行ったスウェディッシュ・ポップの代表的なバンド、カーディガンズからニーナ・パーションがゲスト参加している。

15. I’m Not Gonna Teach Your Boyfriend How To Dance With You – Big Kids

アメリカのインディー・ロックバンド、ブラック・キッズの(当時としても)こんな時代にいかにもインディー・ポップ的なとても良い曲で、全英シングル・チャートでは最高11位を記録したが、アメリカではランクインしないというわりと納得がいく結果となった。それにしても、とても良い曲である。

14. Cape Cod Kwassa Kwassa – Vampire Weekend

ヴァンパイア・ウィークエンドはプレッピー的というか、そこそこ金持ちであろうことが想像できる点において、日本の「渋谷系」などに通じるところもあり、敵視したいところではあるのだが、曲がとても良いので好きにならずにいられないというアンヴィヴァレンツを味わわせてくれるバンドである。デビューアルバムからシングルカットされたこの曲も、ワールドミュージックからの影響が感じられたりもしてかなり良い。

13. Fluorescent Adolescent – Arctic Monkeys

この前の年にリリースされたデビューアルバムが超好評かつ売れもしたので、インディーロックにおいては無双状態ともいえたアークティック・モンキーズが早くも2作目のアルバム「フェイヴァリット・ワースト・ナイトメア」をリリースし、最初のシングルはハードでヘヴィー路線だったのだが、次にカットされたこの曲ではソングライティングにより深みが出ているようなところもあり、とても良かった。全英シングル・チャートでは、アルバム発売後にもかかわらず最高5位のヒットを記録した。

12. Kids – MGMT

MGMTのデビューアルバム「オラキュラー・スペクタキュラー」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高16位を記録した。とにかく、キャッチーでとても良い曲であり、イントロのシンセサイザーのフレーズなどは芸術的ですらある。

11. Skinny Love – Bon Iver

アメリカのシンガー・ソングライター、ジャスティン・ヴァーノンによるソロプロジェクト、ボン・イヴェールのアルバム「フォー・エマ・フォーエヴァー・アゴー」はたちまち話題になったわけだが、この曲はそれ以前に先行シングルとしてリリースされていたようだ。CDよりも早く、音源データによって広まっていったところが個人的にはひじょうに好ましく、未来への希望を感じたりもした。