photo of a boy listening in headphones

トム・ペティの名曲ベスト10

10月20日はアメリカの偉大なロック・アーティスト、トム・ペティの誕生日ということで、そのキャリアから代表的な10曲を選び、カウントダウンしていきたい。

10. Runnin’ Down A Dream – Tom Petty (1989)

1989年にジェフ・リン、マイク・キャンベルとの共同プロデュースでリリースされた初のソロ・アルバム「フル・ムーン・フィーヴァー」から2枚目のシングルとしてカットされ、全米シングル・チャートで最高23位を記録した。

歌詞ではデル・シャノン「悲しき街角」にも言及されている。アニメーションを使ったミュージックビデオも楽しい。

9. Mary Jane’s Last Dance – Tom Petty & The Heartbreakers (1993)

ベスト・アルバムに収録する新曲としてレコーディングされ、全米シングル・チャートで最高12位を記録した。ハートブレイカーズのドラマー、スタン・リンチが参加した最後の曲である。ドラッグのことを歌った曲だと解釈されることが多いが、別れのラヴ・ソングとして聴くこともできる。元々のタイトルは「インディアン・ガール」だったようだ。

8. I Won’t Back Down – Tom Petty (1989)

1989年にリリースされた初のソロ・アルバム「フル・ムーン・フィーヴァー」から最初にシングル・カットされた曲で、全米シングル・チャート12位を記録している。元エレクトリック・ライト・オーケストラのジェフ・リンを共同プロデューサーに迎え、アメリカン・ロックとブリティッシュ・ポップとの融合が生み出す化学反応とでもいうような、素晴らしいポップ・トラックである。

この頃、トム・ペティとジェフ・リンはロイ・オービソン、ボブ・ディラン、ジョージ・ハリスンと共に、トラヴェリング・ウィルベリーズとしても活動していた。この曲のビデオ・クリップにはレコーディングに参加したジェフ・リン、ジョージ・ハリスンの姿が見られるが、ドラムを叩いているリンゴ・スターはレコーディングには参加していない。2001年11月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件の際には、この曲がよくテレビで流れたという。

7. Breakdown – Tom Petty & The Heartbreakers (1976)

1977年のデビュー・アルバム「アメリカン・ガール」にも収録されたトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズにとって初めてのシングルで、全米シングル・チャート最高40位を記録している。

ダークなトーンとソウルフルな女性コーラス、やはりニュー・ウェイヴと通底するような雰囲気があり、初期のジョー・ジャクソンを思い出したりもする。

6. Don’t Come Around Here No More – Tom Petty & The Heartbreakers (1985)

1985年のアルバム「サザン・アクセンツ」からの最初のシングルで、全米シングル・チャートで最高13位を記録した。このアルバムではプロデューサーにユーリズミックスのデイヴ・スチュワートを迎え、これまでとはやや異なった音楽的アプローチを見せている。

歌詞の内容はデイヴ・スチュワートとスティーヴィー・ニックスとの関係にも関連していて、タイトルの「ここにはもう来ないでよ」は、スティーヴィー・ニックスが元恋人のジョー・ウォルシュに言った言葉から取られているという。ビデオは「ふしぎの国のアリス」をモチーフにしたユニークなものである。

5. Don’t Do Me Like That – Tom Petty & The Heartbreakers (1979)

1979年にリリースした3枚目のアルバム「破壊」からの最初のシングルで、全米シングル・チャートでは最高10位と、初のトップ10入りを果たした。邦題は「危険な噂」である。とてもポップでキャッチーなアメリカン・ロック。

4. Free Fallin’ – Tom Petty (1989)

トム・ペティほどアメリカ国内と日本とでの人気の差が大きいロック・アーティストはそうそういないのではないかという気もするのだが、この曲は1989年にリリースされた初のソロ・アルバム「フル・ムーン・フィーヴァー」からのシングルで、全米シングル・チャートで最高7位を記録した。

現在もアメリカが自由の国と呼ばれるのかに値するのかどうかはひじょうに怪しいところだが、この曲は少なくともある時期においては確信されていた自由の国アメリカなる幻想を強化してくれるような、素晴らしい楽曲である。たとえ、それは現実には存在しないものだったとしても、少なくともこの曲の中には存在する。そして、それは文字通り心を自由にしてくれるものである。

3. Learning To Fly – Tom Pettu & The Heartbreakers (1991)

ソロ活動を経て1991年にリリースされた、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ名義としては久々となるアルバム「イントゥ・ザ・グレイト・ワイド・オープン」からの最初のシングルで、全米シングル・チャートで最高28位を記録した。プロデュースはジェフ・リンである。

直訳するならば、空を飛ぶことを習っているところだが、翼はまだないというそのような内容で、まさにポップ・クラシックとでもいうべき高いクオリティーを感じる。すべての目標を持って日々を頑張っている人々のアンセムになりうる名曲である。

2. Refugee – Tom Petty & The Heartbreakers (1980)

全米アルバム・チャートで2位を記録し、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの名を本格的に世に知らしめた1979年のアルバム「破壊」から3枚目のシングルで、全米シングル・チャート最高15位を記録。

所属していたレーベルが大手に買収されることに対する異議申し立てを、移民のアナロジーを用いて歌った曲らしいのだが、周囲から祝福されない類いの恋愛関係について歌われているようにも聴こえる。

1. American Girl – Tom Petty & The Heartbreakers (1977)

1977年のデビュー・アルバム「アメリカン・ガール」から3枚目のシングルとしてカットされたが、なんとアメリカではチャートインしていない。イギリスではニルス・ロフグレンのオープニング・アクトが好評で、全英シングル・チャート最高40位を記録している。

ドライブ感溢れるゴキゲンなこの曲は、1976年のアメリカ建国記念日にレコーディングされたらしい。実在する自殺した女子学生について歌われているのではないかという噂は、トム・ペティ本人について否定されていたようだ。「気楽にやりなよ、ベイビー」という歌詞は、トム・ペティからのメッセージのようにも聴こえる。

2002年にトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズとして、ロックの殿堂入り、2014年にリリースしたアルバム「ヒプノティック・アイ」で初の全米アルバム・チャート1位を記録し、2016年に結成40周年のツアーを終えた少し後に、人生の幕を閉じた。まさに生涯現役という言葉が相応しい人生であった。そして、トム・ペティは今日も天国から歌ってくれる。「気楽にやりなよ、ベイビー」と。

This is...POP?!
Lists