クリスマス映画の名作ベスト20

クリスマスは一年のうちでもひじょうに大きなイベントであるため、これをテーマにした映画もいろいろ出ていて、ジャンルも多岐にわたっている。今回はそれらの中から、特に名作だといわれる20作を選んでいきたい。

20. スノーマン (1982)

1978年に出版された絵本を原作としたアニメーション作品で、1982年のクリスマスイブに開局からまだそれほど経っていないチャンネル4で放送され、大ヒットした。絵本の内容に沿った約26分間の作品で、セリフは一切ない。主人公の少年が朝起きると雪が降っていて、喜んでつくった雪だるまが動き出し、一緒に過ごした一夜のことが描かれている。見る者に子供の頃に持っていた空想的な気分を思い出させ、すべての出来事には終わりが訪れるという現実をも再認識させる。デヴィッド・ボウイがひじょうに気に入っていた作品としても知られる。

19. バッドサンタ (2003)

アルコール依存症で犯罪歴のある主人公がデパートの現金を強奪するために、サンタクロースに扮してセキュリティシステムなどを調べたりするのだが、やがて彼を本物のサンタクロースだと思い込むいじめられっ子の少年が訪れる。ダークコメディーなテイストが特徴的な大人のクリスマスムービーである。

18. 東京ゴッドファーザーズ (2003)

新宿の公園でホームレスとして生活する元競輪選手、元ドラァグクイーン、家出少女の3人がクリスマスに捨てられていた赤ちゃんを拾い、様々な手掛かりをたどり親の元へ返そうとするアニメーション作品である。「パーフェクトブルー」「千年女優」などで知られる今敏の監督作品で、国内や海外で様々な賞を受賞している。ムーンライダーズの鈴木慶一が手がけた音楽もとても良い。

17. ルドルフー赤鼻のトナカイ (1964 )

クリスマスソングの「赤鼻のトナカイ」は、1938年にロバート・L・メイが娘のために書いた詩から派生した児童書のストーリーが元になっている。そして、その人形アニメバージョンがこの作品なので、内容はクリスマスソングの歌詞の通りである。コマ撮りの手法を用いて撮影されているのだが、動物の人形がとにかくとても可愛い。そして、多様性の肯定というテーマが扱われていたことにも気づかされる。

16. ラブ・アクチュアリー (2003)

クリスマスシーズンのロンドンを舞台に、イギリス首相やロックスターから子供まで、様々な人々によるいくつものラブ・ストーリーが交差するロマンティック・コメディ作品である。ジョニ・ミッチェルのCDが効果的に用いられていたり、サウンドトラックには「恋人たちのクリスマス」「神のみぞ知る」など様々な年代のヒット曲が使われるなど、ポップ・ミュージックファンにも楽しめる内容になっている。あまりにも甘ったるくて浅い内容だとして批評家から厳しい評価を受けていることもあるが、一般大衆からの人気はひじょうに高く、クリスマスムービーのモダンクラシックと化しているようにも思える。

15. マペットのクリスマス・キャロル (1992)

チャールズ・ディケンズの小説「クリスマス・キャロル」を原作として制作された映画はたくさんあるが、マペットによって演じられたこの作品は、分かりやすい上に可愛くてとても良い。スクルージ役でイギリスの名優、マイケル・ケインが出演している。

14. シザーハンズ (1990)

両手がハサミになっている人造人間と少女との関係を描いた、悲しくも美しいファンタジー作品である。ティム・バートン監督作品によく見られる異端者の悲しみというようなテーマが通底しているように感じられるが、それゆえに雪の中で踊る少女の姿がより美しく見える。この作品をきっかけにジョニー・デップはティム・バートンの作品によく出演するようになった。

13. ダイ・ハード (1988)

ニューヨーク市警の刑事である主人公、ジョン・マクレーンが妻が務める会社のクリスマスパーティーに向かうのだが、会場のビルが強盗に遭ってしまう。ブルース・ウィリス演じるマクレーン刑事が犯罪者集団を倒し、平和を取り戻すまでを描いたアクション作品である。スリリングな設定とアクションシーンが大いに受けて、後にシリーズ化されたりビデオゲーム化されたりもした。

12. ナイトメア・ビフォア・クリスマス (1993)

ティム・バートン原案・原作によるストップモーション・アニメーション作品である。ファンタジーでありながらホラー的な感覚もあり、ディズニー系のアニメではあるが大人向けとされている。個性的なキャラクターやダークな雰囲気からカルト的な人気もひじょうに根強く、キャラクターグッズなども多数発売されてきた。ポップ・カルチャーとして認知はしていても実は見たことがないという人も少なくないと思われる。ハロウィンムービーとしてもクリスマスムービーとしても楽しめる作品でもある。

11. グレムリン (1984)

キャラクターとしてひじょうに有名なギズモは、発明家のランダル・ペルツァーが息子へのクリスマスプレゼントとして、チャイナタウンの骨董店で買ったものである。そこから大騒動へと繋がっていくわけだが、可愛らしくも残酷なモグワイたちが暴れまくる様を見るのは大の大人にも楽しいものであり、これがクリスマスムービーでもあることはあえて見る口実としてひじょうに便利だともいえる。

10. スヌーピーのメリークリスマス (1965)

スヌーピーが登場する最初のアニメーション作品は、1965年にテレビの特別番組として放送された「スヌーピーのメリークリスマス」であった。約25分間の作品ではあるが、ジャズピアニストで作編曲家のヴィンス・ガラルディが手がけたサウンドトラックも含め、クリスマス気分が凝縮されているともいえる。原題は「A Charlie Brown Christmas」である。

9. ナショナル・ランプーン/クリスマス・バケーション (1989)

チャビー・チェイスらによる「ナショナル・ランプーン」シリーズは海外では人気があるのだが、日本ではDVDで買うことができなければ配信もされていないという状況でとても悲しかったりするわけである。それはそうとして、家族でクリスマスバケーションを過ごそうとするのだが、思うようにいかないドタバタコメディーであり、ホリデー気分で何も考えずに笑うには最高である。

8. 3人のゴースト (1988)

チャールズ・ディケンズの「クリスマス・キャロル」を(当時における)現代のニューヨークに置き換え、スクルージにあたる冷酷な拝金主義者、フランク・クロスをビル・マーレイが好演している。3人のゴーストに出会い、改心して大切なことに気づくという展開は「クリスマス・キャロル」ものの原則に則っているが、とにかく見やすいのがとても良い。

7. クリスマス・ストーリー (1983)

クリスマス映画の名作の一つに間違いなく数えられるのだが、日本ではソフト化どころかもしかすると公開すらされていないかもしれない作品であり、タイトルは「A Christmas Story」とあまりにも直球である。1940年代のアメリカで過ごした幼き日々の思い出を語るというていでストーリーは進むのだが、まだ子供で心がひじょうに繊細だった頃の心のかさぶたを剥がされるような、痛みと懐かしさを感じることができる。しかも、ライトにコメディータッチなのがまたとても良い。輸入盤のDVDは買うことができるのだが、日本国内で正規に再生することは原則的にできなかったりもするので要注意である。

6. ホワイト・クリスマス (1954)

世界で最もたくさん売れたレコードとしてギネスブックに記録されているというビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」が初めて歌われた映画は1942年の「スイング・ホテル」だが、やはりこの曲が歌われるばかりかタイトルにもなっているのがこの作品である。第二次世界大戦後のアメリカにおいて、かつての将軍が経営する宿の窮地を救うべく、エンターテイナーを演じるビング・クロスビーとダニー・ケイのコンビがいろいろ頑張るというストーリーである。

5. 若草の頃 (1944)

原題は「Meet Me In St. Louis」で、1904年に開催されたセントルイス万博のテーマソングである。そして、これは厳密にはクリスマス映画ではない。万博を控えた当時のセントルイスでの四季が描かれている。ジュディ・ガーランドなどが出演したミュージカル映画でもあり、公開当時における古き良きアメリカの価値観が再現されていたともいわれる。公開当時のアメリカは第二次世界大戦中でひじょうに暗かったというのだが、この作品はそのような状況下にある人々の心に安らぎをあたえていたともいわれている。いろいろと思うところがないわけでもないとしても、この作品に記録された強度は圧倒的である。そして、クリスマスのシーンにおけるとてつもない良さにおいて、この作品は優れたクリスマスムービーのリストにも高確率でセレクトされている。

4. ホーム・アローン (1990)

兄とけんかして屋根裏部屋で寝ていたために家族旅行に置いていかれた8歳の少年、ケビン・マカリスターが家族の留守中に訪れた危機を一人で回避する様を描いたファミリーコメディーである。主演のマコーレー・カルキンはこの作品のヒットによって、一躍人気者になった。日本では渋谷の渋東シネタワーのこけら落とし作品としても上映された。

3. エルフ~サンタの国からやってきた~ (2003)

人間の赤ちゃんであったにもかかわらず、サンタクロースの手違いで孤児院から北極に持ち帰られてしまったウィル・フェレル演じるバディが、父親がニューヨークにいることを知り、会いにいったことによって起こった様々なアクシデントなどが描かれている。家族の絆というベタなテーマを扱っていながら、クレイアニメーションの導入など映像的なおもしろさもあり、素晴らしいクリスマスコメディー映画に仕上がっている。

2. 三十四丁目の奇跡 (1947)

ニューヨークのメイシー百貨店でサンタクロース役を務める老人が、いつしか本物のサンタクロースを名乗ることになることで騒動になり、法廷闘争にまで発展してしまう。オーセンティックでハートウォーミングなクリスマス映画のクラシックであり、後にリメイクも制作されている。

1. 素晴らしき哉、人生! (1946)

クリスマスムービーとしてのみならず、映画というアートフォームにおける最高傑作の一つともいわれる作品で、クリスマスシーズンの定番としても親しまれている。第二次世界大戦後のアメリカにおいて、正直に生きてきた一人の男が窮地に追い込まれ、クリスマスの日に自殺をしようとするのだが、そこに天使の見習いが訪れるというストーリーである。もしもクリスマスムービーを1本だけしか見る余裕がないとしたならば、ぜひ選ぶべき作品だともいえる。