1999年の洋楽ロック&ポップス名曲ベスト20

1999年にリリースされた洋楽ロック&ポップスの名曲から特に人気があったり有名だったりヒットしていたり重要だと思われる20曲を選んでいきたい。

20. Beautiful Stranger – Madonna

マドンナが映画「オースティン・パワーズ:デラックス」のテーマソングとしてリリースしたシングルで、全英シングル・チャートで最高2位を記録した。アメリカではシングルが発売されなかったのだが、ラジオオンエアの集計だけによって、全米シングル・チャートで最高19位を記録している。

共同プロデューサーは前年のアルバム「レイ・オブ・ライト」と同じくウィリアム・オービットが務めていて、60年代的なテイストの映画に合わせてか、サイケデリックな雰囲気も感じられる曲になっている。

19. I Want It That Way – Backstreet Boys

バックストリート・ボーイズの3作目のアルバム「ミレニアム」からの先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで1位に輝いた。

このポップバラードの大ヒットによって、グループはそれまでのアイドル的な人気を超えて、より幅広い層のリスナーにアピールしたように思える。

18. Carrot Rope – Pavement

アメリカのオルタナティヴロックバンド、ペイヴメントの最後のアルバムとなった「テラー・トワイライト」からイギリスではシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高27位を記録した。

アルバムには最後の曲として収録され、タイトルの頭には「…and」と表記されている。90年代のオルタナティヴロックシーンにおいてひじょうに重要な役割を果たしたペイヴメントだが、シングル・チャートでの最高位は最後のこの曲が最も高い。愛すべきバンドヒストリーのエンドロールに相応しい、あっけらかんとしたところがありながらもセンチメンタルにも感じられる楽曲である(後に再結成される)。

17. Still D.R.E. – Dr. Dre featuring Sboop Dogg

ドクター・ドレーの2作目のアルバム「2001」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高6位を記録した。

1992年のアルバム「ザ・クロニック」が高く評価された後、2パック「カリフォルニア・ラヴ」、ブラックストリート「ノー・ディギティ」といった大ヒット曲に参加したり、エミネムやスヌープ・ドッグをプロデュースするなどしていたドクター・ドレーが満を持してリリースする久々の新作ということで大きく注目された。

ハイプ・ウィリアムスによって監督されたミュージックビデオにはドクター・ドレー、スヌープ・ドッグの他にエミネム、ウォレンG、ファンクマスター・フレックスなども出演している。

16. Coffee + TV – Blur

ブラーの6作目のアルバム「13」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高11位を記録した。

ギタリストのグレアム・コクソンによって書かれた楽曲で、リードボーカルも取っている。アルコール中毒から脱するために、コーヒーを飲みながらテレビを見ていた実体験が楽曲になっているという。

行方不明者の写真が印刷された牛乳パックのキャラクターが登場するミュージックビデオも、高く評価されている。

15. Say My Name – Destiny’s Child

デスティニーズ・チャイルドのアルバム「ライティング・オン・ザ・ウォール」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで1位に輝いた。

この頃にデスティニーズ・チャイルドではメンバーチェンジが行われていて、ミュージックビデオには新ラインナップのメンバーが出演しているが、音源は旧ラインナップによるものとなっている。

14. Once Around The Block – Badly Drawn Boy

注目のシンガーソングライターとしてインディーロックファンの間でひじょうに話題になっていたバッドリー・ドローン・ボーイの初期のシングルで、全英シングル・チャートでは最高46位を記録した。

この曲も収録したデビューアルバム「ジ・アワー・オブ・ビワイルダー・ビースト」は翌年にリリースされ、マーキュリー賞を受賞している。

13. Sexx Laws – Beck

ベックのアルバム「ミッドナイト・ヴァルチャーズ」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高27位を記録した。

ホーンを効果的に用いたソウルミュージック的な楽曲になっている。ミュージックビデオには日本の70年代のコソも向け特撮「がんばれ!!ロボコン」からインスパイアされたと思われるロボットたちも登場している。

12. Big Pimpin’ – Jay-Z & UGK

ジェイ・Zのアルバム「Vol.3 ライフ&タイム・オブ・ジョーン・カーター」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで最高18位を記録した。

エジプトのプロデューサー、バリ・ハンディによって作曲された「コサラ・コサラ」という曲がサンプリングされていることにより、後に訴訟沙汰になったりもしている。

11. Hey Boy Hey Girl – The Chemical Brothers

ケミカル・ブラザーズの3作目のアルバム「サレンダー」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高3位を記録した。

ミュージックビデオは風変わりなストーリー仕立てになっていて、骸骨がやたらとたくさん登場する。

10. Swastika Eyes – Primal Scream

プライマル・スクリームのアルバム「エクスターミネーター」からの先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高22位を記録した。

高度資本主義社会に対する批判を含んだこの曲は、音楽的にはよりテクノに接近していて、ケミカル・ブラザーズによってもミックスされていた。

9. Northern Lites – Super Furry Animals

スーパー・ファーリー・アニマルズのアルバム「ゲリラ」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高11位を記録した。

赤道付近の海面水温が高くなるエルニーニョ現象にインスパイアされた内容になっていて、音楽面ではスティールドラムなどを用いたカリプソ的なサウンドが特徴的である。

8. Got Your Money – Ol’ Dirty Bastard feat. Kelis

オールド・ダーティ・バスタードのアルバム「ニガ・プリーズ」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高11位を記録した。

コーラスで参加したケリスはこの曲でレコードデビューを果たしたことになる。

7. Caught Out There – Kelis

ケリスのデビューアルバム「カレイドスコープ」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高4位を記録した。

ネプチューンがプロデュースしたトラックに乗せて、別れた恋人に対する怒りが痛快に表現されている。「I hate you so much right now」というフレーズの繰り返しが特に印象的である。

6. Sing It Back – Spiller

イギリスのシェフィールドで結成された音楽ユニット、モロコの2作目のアルバム「アイ・アム・ノット・ア・ドクター」に収録されていた曲だが、ドイツの音楽プロデューサー、ボリス・ドゥルゴッシュによるリミックスバージョンがリリースされると、全英シングル・チャートで最高4位を記録した。

当初、レーベルはエヴリシング・バット・ザ・ガール「ミッシング」をヒットさせていたトッド・テリーにリミックスを依頼したのだが、メンバーの要望によりこちらのバージョンをリリースすることになったということである。

5. Tender – Blur

ブラーの6作目のアルバム「13」からの先行シングルで、全英シングル・チャートで最高2位を記録した。

デーモン・アルバーンの恋人(エラスティカのジャスティーン・フリッシュマン)との破局について歌われたバラードで、ゴスペルコーラスやグレアム・コクソンのボーカルをフィーチャーしていることでも話題になった。プロデューサーはウィリアム・オービットである。

4. Race For The Prize – The Flaming Lips

フレーミング・リップスのアルバム「ソフト・ブレティン」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高39位を記録した。

オルタナティヴロックファンには以前から人気があったフレーミング・リップスの音楽がより分かりやすくなったことにより、幅広い層にアピールすることになった。

きらびやかなイントロが印象的であり、科学者のライバル関係をテーマにした歌詞とは無関係に、日本のあるサイトではこの曲を結婚披露宴のBGMに相応しい曲として挙げていたのを見たことがある。

3. Windowlicker – Aphex Twin

エイフェックス・ツインによるシングルで、全英シングル・チャートで最高16位を記録した。

クリス・カニンガムが監督したミュージックビデオはギャングスタ・ヒップホップにありがちなビデオのパロディーになっていて、フルバージョンの視聴には年齢制限が設けられている。

2. No Scrubs – TLC

TLCのアルバム「ファンメイル」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで7週連続1位、年間チャートではシェール「ビリーヴ」に次ぐ2位を記録した。

タイトルの「スクラブス」はダメ男、ちっぽけな男といったニュアンスのスラングで、うぬぼれていて精神的に幼稚な男性を痛烈に批判した内容が広く共感されたように思える。

1. My Name Is – Eminem

エミネムの2作目のアルバム「スリム・シェイディ」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで2位を記録した。

ポップアイコン化のきっかけとなったこの曲はドクター・ドレーのプロデュースによる優れたサウンドプロダクションに加え、センセーショナルなリリックやビデオが特に印象的だが、エミネム自身は現在となっては気に入っていないようである。