ボブ・マーリーの名曲ベスト20 (20-11)

1970年代のポップ・ミュージック界にとってレゲエがどの程度に刺激的な音楽であるかについては想像することしかできず、洋楽を主体的に聴くようになった頃にはすでに1つの重要なジャンルとして認識され、ニュー・ウェイヴやソウル・ミュージックにも強い影響をあたえていたような気がする。

このジャマイカ生まれの音楽ジャンルにおいて、一般的に最も有名なアーティストといえばボブ・マーリーであろう。1945年2月6日に生まれたこの偉大なアーティストの楽曲の中から、特に重要なのではないかと思われる20曲を挙げていきたい。

20. Satisfy My Soul (1978)

ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのアルバム「カヤ」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで最高21位を記録した。

このアルバムをリリースした頃のボブ・マーリーはマイルドでソフトになりすぎではないかと、批判されたりもしていたようなのだが、それによってよりポピュラリティーを得たところも間違いなくあるようだ。レイドバックした気分を味わうことができるこの曲なども、そういったタイプの典型だともえる。

19. War (1976)

ボブ・マーリーのアルバム「ラスタマン・ヴァイブレーション」に収録された曲で、クレジットはカールトン・バレット、アラン・コールとなっているのだが、ボブ・マーリーはその人たちにお金が入るように自作曲のクレジットを親しくて生活に苦しんでいる人にする場合があったという。

この曲はエチオピアのハイレ・セラシエ1世皇帝の言葉をベースにしていて、種族間に優劣をつける考えがある限り、戦争は起こり続けるだろうというようなことが歌われている。

18. Punky Reggae Party (1977)

ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの12インチシングルとしてジャマイカでリリースされ、オリジナルアルバムには収録されていない。シングル「ジャミング」のB面に収録されたバージョンが有名で、ベストアルバム「レジェンド」にも収録されている。

1977年といえばパンクの年でもあるのだが、レゲエとは同じレベルミュージックという点で共通するところがある。ザ・クラッシュがジュニア・マーヴィン「ポリスとコソ泥」をカバーしたことに食博されたというこの曲の歌詞には、ザ・クラッシュの他にザ・ダムドやザ・ジャムといったバンド名や「ニュー・ウェイヴ」というフレーズが入っていたりもする。

17. Concrete Jungle (1973)

ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのアルバム「キャッチ・ア・ファイア」の1曲目に収録された、都会について歌われた曲である。

アイランドレコーズから世界に向けてリリースされた最初のアルバムの1曲目ということで、ひじょうに重要な役割を担うことにもなったわけだが、その期待に応えるにじゅうぶんな力強い楽曲になっている。

16. Natural Mystic (1977)

ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのアルバム「エクソダス」の1曲目に収録された曲である。

約30秒間ぐらいの長いイントロが、その後の充実したアルバムに対する期待を高めてくれるわけだが、曲単体で聴いてもリラクシンでとても良い感じである。

15. Three Little Birds (1977)

ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのアルバム「エクソダス」に収録された曲で、1980年にはシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高17位を記録している。

小さなことでくよくよしないで、すべてはうまくいくさ、というようなポジティヴなメッセージとリラックスしたムードが感じられるサウンドが特徴である。タイトルの3羽の小鳥については、実際にボブ・マーリーの家の近くにいた鳥がモチーフになっているといわれているが、一緒にライブを行っていた3人組の女性グループ、アイ・スリーズのこともそう呼ばれるようになった。マルーン5をはじめ、いろいろなアーティストによってカバーされている。

14. Waiting In Vain (1977)

アルバム「エクソダス」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高27位を記録した。

愛が報われるのを待ち続けるのにはもう疲れたというか、そのようなことが歌われていると思われる。サウンドやボーカルにも哀感のようなものが漂っていてとても良い。90年代にはアニー・レノックスによってカバーされている。

13. Buffalo Soldier (1983)

ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの楽曲の中でもわりとよく知られているような気もするのだが、ボブ・マーリーが亡くなった後の1983年に初めてレコードが発売された。全英シングル・チャートでは最高4位を記録している。

タイトルの「バッファロー・ソルジャー」は、アメリカの南北戦争で活動した陸軍の黒人連隊に由来し、それを現代の黒人解放に結びつけていると考えられる。

12. Sun Is Shining (1978)

1971年にリー・ペリーがプロデュースしたアルバム「ソウル・レヴォリューション・パートⅡ」に収録されたのが最初だが、1978年のアルバム「カヤ」で再々録されたバージョンが有名である。また、1999年にはファンクスター・デラックスによるリミックスバージョンが全英シングル・チャートで最高3位のヒットを記録している。

ボブ・マーリーの存命中はそれほど注目されていなかった曲だともいわれていて、ライブでもあまり演奏されていなかったようだ。太陽は輝いているが人々が苦しんでいることを忘れてはならない、というようなことが歌われている。

11. Could You Be Loved (1980)

ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの最後のアルバム「アップライジング」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高5位を記録した。

アメリカのマーケットを意識して、当時の流行であったディスコサウンドを意識してもいる。一方で歌詞にはジャマイカでのデビューシングル「ジャッジ・ノット」からのフレーズが引用されるなど、ルーツに立ち返っているように感じられるところもある。

歌詞には様々な解釈が可能であり、シンプルなラヴソングとしてとらえることもできれば、これを神の愛について歌われていて、ラスタファリズムにおけるモラルを説いたものとして聴くこともできる。