aikoの名曲ベスト10

11月22日はシンガー・ソングライター、aikoの誕生日ということで、その数ある素晴らしい楽曲の中からベスト10を選んでいきたい。

10. 食べた愛 (2021)

2021年9月29日にリリースされた、現時点では最新シングルである。どこかノスタルジックな気分にもさせるシンセサウンドをはじめ、音響面における新たな試みも感じられる。デビューから20年以上のキャリアを重ねているのだが、J-POPのメインストリームで優れた楽曲を発表し続け、作品は深化し続けているように感じられる。

9. milk (2009)

スカのリズムが取り入れられているところが、ひじょうにユニークな楽曲である。オリコン週間シングル・チャートにおいては、この曲で初の1位を記録している。デビュー10年以上のアーティストによる初の1位は竹内まりや「カムフラージュ/Winter Lovers」以来、10年3ヶ月ぶりの記録だったのだという。

8. ストロー (2018)

「君にいいことがあるように 今日は赤いストローさしてあげる」ということがずっと歌われている。しかも、「あるように」というフレーズが祈りのように繰り返されるのだが、このように思う相手がいるということの素晴らしさが表現されているようで感動的である。オルガンが鳴りまくるサウンドも最高だが、「お味噌汁」というフレーズが不意に出てくるところなどもとても良い。

7. 花火 (1999)

メジャー3作目のシングルで、初のトップ10ヒットである。「夏の星座にぶらさがって 上から花火を見下ろして」というスペクタクルな設定は、デビュー後に忙しくていつも友人と行っていた花火を見にいくことができないという当時の状況から生まれたのだという。「こんなに好きなんです 仕方ないんです」という、恋をした時のどうしようもなさがこういった舞台設定によって、ヴィヴィッドに表現されているところもかなり良い。J-POPクラシックの1つだといえよう。

6. えりあし (2003)

aikoの楽曲には恋愛の様々な状況を歌っているものがひじょうに多いのだが、個人的にはその終わりについて歌われたものに、特に心を動かされる。恋愛というのは好きになった方に責任があるのではないかというような考えを個人的には根本的にしているので、やはり好きになってしまい申し訳ないという思いが常にあるものだが、それゆえにこの曲などはひじょうにしっくりときたりするのである。

5. 三国駅 (2005)

三国駅とはaikoがかつて通学していた大阪音楽短期大学の最寄り駅の隣の駅だという。駅の高架化と周辺の区画整理によって、この曲で描かれた景色は現存しないということなのだが、ある時期に間違いなく存在していた思いとその周囲の風景を記録することには、ひじょうに価値があるのではないかと考える。卒業式をモチーフにした、ミュージックビデオも素晴らしい。

4. キラキラ (2005)

人を好きになって、会えない時間というのはうれしくも悲しくもあるのだが、時として思いとは信仰にも近く、そういったささいでもあり恐ろしくもある真実について、この曲は歌っているのではないかと感じたりもする。それが特に大袈裟でもなく、ライトでポップなサウンドに乗せてカジュアルに歌われているようなところがまたすごいのではないかと思う。

3. アンドロメダ (2003)

すべての愛はやがて色褪せ、いずれ終わってしまう運命にあるのか、それとも永遠というものは実在するのだろうか、そのようなことについて考えたり考えなかったりしながらも、いずれにしてもなるようにしかならないのかとか、やがて気力も衰えていくのだが、そのような実存的な不安や不確かさのようなものをテーマにした素晴らしいポップ・ソングなのではないかと感じる。

2. 青空 (2020)

恋の終わりについての身も蓋もなさについて、都会的で洗練されたサウンドにのせて、切実で刺さりまくるフレーズを繰り出しながら歌った、一つの到達点的なすさまじい楽曲である。「あなたにもう逢えないと思うと 体を脱いでしまいたいほど苦しくて悲しい」、そして、もうすでに外してしまっているはずの指輪がもうそこにないことを忘れて、服を脱ぐたびに気をつけてしまう。「破裂した音が鳴っている 今あたしの薄ら汚れた空に吸われていくの 恋が終わった」というのもまたすごいのだが、確かにそんな感じなのだろう。

1. KissHug (2008)

失恋ソングである。そして、名曲である。好きな人のことをその姿が見えなくなるまで見送ったという経験は多くの人にとって身に覚えのある経験だと思うのだが、この曲においては「暑い帰り道に見えなくなるまで」の後に「本当に小さくなるまで見ていた」、さらに「あなたが好きだったの」と過去形かと思いきや、「今も今も」と大事なことなので2度繰り返される。そして、ピアノの演奏がまたこの曲の内容と合っていてとても良い。