1971年の洋楽ロック&ポップス名曲ベスト20

日本では尾崎紀世彦「また逢う日まで」や小柳ルミ子「わたしの城下町」がヒットして、マクドナルドの国内1号店が銀座に開店したり、日清食品がカップヌードルを販売開始した1971年、アメリカやイギリスでリリースされたポップ・ソングの中からベスト20を選んでみた。

20. Just My Imagination (Running Away With Me) – The Temptations

テンプテーションズといえばモータウンを代表するグループの1つで、「マイ・ガール」のヒットなどでお馴染みである。それが60年代後半はサイケデリック路線に走り、それはそれで評価が高かったのだが、従来のような曲もまた聴きたいという要望もあり、秘かに温めていたのがこの曲だったのだという。サイケデリック路線の楽曲のセールスが落ちてきたところでリリースすると、見事に全米シングル・チャートで1位に輝いた。

うっとりするようなサウンドに乗せて、こんなに素敵な女性から愛されているなんて僕はなんてラッキーな男なのだろうと歌われるのだが、実はそれはただの空想にすぎなという内容で、邦題の「はかない想い」もしっくりとくる。

19. Me And Bobby McGre – Janis Joplin

ドラッグの過剰摂取によって27歳の若さで亡くなったジャニス・ジョプリンの死後にリリースされたアルバム「パール」からのシングル・カットで、全米シングル・チャートで1位に輝いた。クリス・クリストファーソンとフレッド・フォスターによって書かれた楽曲で、ジャニス・ジョプリンのバージョンはカバーである。

18. Wild Horses – The Rolling Stones

アルバム「スティッキー・フィンガーズ」の収録曲で、アメリカなどいくつかの国ではシングル・カットもされたカントリー・ロック的なアルバムである。ミック・ジャガーとキース・リチャーズによって書かれた楽曲だが、グラム・パーソンズのフライング・ブリトー・ブラザーズのバージョンの方が先にリリースされている。

17. Tired Of Being Alone – Al Green

一人でいるのにはもう疲れた、とタイトル通りのことが歌われたこの曲は、宿泊していた田舎のモーテルで夜明け前に目覚めたアル・グリーンに突然降りてきたのだという。とにかく最高の歌と演奏が楽しめる素晴らしい楽曲である。全米シングル・チャートでは最高11位を記録した。

16. Stairway To Heaven – Led Zeppelin

「天国への階段」の邦題でも知られる、ロック史においてとても有名な楽曲。アルバム「レッド・ツェッペリンⅣ」の収録曲でシングル・カットもされていなく、8分もあるにもかかわらずとにかくとても有名である。ゆっくりとした曲調ではじまり、はじめはリコーダーの音なども聴こえるのだが、次第に激しくなっていき、ロック史上最高といわれることもあるジミー・ペイジのギター・ソロも堪能できる。

15. Changes – David Bowie

アルバム「ハンキー・ドリー」の収録曲でシングル・カットもされたのだが、実はそれほどヒットしたわけでもない。それでも変幻自在なスタイルや音楽性が特徴のデヴィッド・ボウイに実に相応しい内容であり、代表曲として知られるようになった。

14. Surf’s Up – The Beach Boys

ブライアン・ウィルソンとヴァン・ダイク・パークスによって書かれた楽曲で、当初はビーチ・ボーイズのアルバム「スマイル」に収録される予定だったのだが、アルバムそのものが未完に終わったため、いろいろあって結局、この年のアルバム「サーフズ・アップ」に収録された。シングル・カットされたがヒット・チャートにはランクインしなかった。それほど単純に解釈できるようなタイプの曲でもないように思えるのだが、絶望の果てに希望を見いだすのだが、そこにはもうかつてのような無邪気さはない、というような感じではないかと考えられる。

13. Maggie May – Rod Stewart

ロッド・スチュワートのなんとも味のあるハスキーなボーカルが効きまくっている楽曲で、年上の女性との恋愛がテーマになっている。全米、全英ともにシングル・チャートで1位に輝いた。

12. The Revolution Will Not Be Televised – Gil-Scott Heron

リリース時にヒットしてはいないのだが、ひじょうに先駆的なことをやっていて、後のポップ・ミュージックにあたえた影響もひじょうに大きいギル・スコット・ヘロンの代表曲である。ジャズ・ファンク的な演奏にメッセージ性の強いポエトリー・リーディングを乗せた音楽性は、後のヒップホップに通じるところもあるように思える。

11. A Case Of You – Joni Mitchell

シンガー・ソングライターアルバムの名盤「ブルー」に収録された楽曲の中でも、特に人気が高いのがこの「ア・ケイス・オブ・ユー」である。「ブルー」というアルバムそのものがタイトルの通りブルーな気分を表現した作品なのだが、この曲ではジョニ・ミッチェルの素晴らしいボーカル・パフォーマンスが痛切で生々しく、その真価を発揮しているように思える。

10. It’s Too Late – Carole King

これもまたシンガー・ソングライターアルバムの名盤「つづれおり」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートで1位に輝いた。邦題は「イッツ・トゥー・レイト(心の炎も消え)」であり、終わりかけた恋愛関係の感じがアンニュイに歌われている。

9. Theme From Shaft – Isaac Hayes

アイザック・ヘイズが映画「黒いジャガー」の主題歌として書き下ろし、全米シングル・チャートで1位に輝いた楽曲。ソウル・ファンク的な楽曲にオーケストラを効果的に用い、ドラマティックでスリリングな緊張感をかもし出してもいてとても良い。

8. Brown Sugar – The Rolling Stones

アルバム「スティッキー・フィンガーズ」からの先行シングルでアメリカ、イギリスともにシングル・チャートで1位に輝いた。ローリング・ストーンズの数ある楽曲の中でも定番曲の1つであり、70年代の代表曲だといえる。印象的なギター・リフ、サザン・ロックの要素も取り入れた音楽性など、本当に素晴らしい。

7. Won’t Get Fooled Again – The Who

アルバム「フーズ・ネクスト」からの先行シングルで、邦題は「無法の世界」である。シンセサイザーを効果的に用いたロックということで、当時としては新鮮だったと思われる。革命に対してのシニカルな視点があることから、保守的なロックソングと見なされることがあるが、これについては作者のピート・タウンゼントが反論している。

6. Life On Mars? – David Bowie

フランク・シナトラの歌唱やシド・ヴィシャスによるパンキッシュなカバーでも知られるスタンダード・ナンバー「マイ・ウェイ」は元々はフランス語の曲で、英語詞はポール・アンカが書いている。デヴィッド・ボウイもこの曲の英語詞を書いたのだがボツになったらしく、それがこの「ライフ・オン・マーズ?」の元になっている。

「火星に生命は存在するのか?」ということを含め、何について歌われているのか具体的にははっきりとよく分からないのだが、それでもドラマティックでとても良い曲であり、アート的で非日常的な感覚も得ることができる。

5. Get It On – T.Rex

グラム・ロックの代表格といえばデヴィッド・ボウイとT・レックスであり、ポップ・ミュージック史的にはデヴィッド・ボウイの方が偉大だとされているし、それに対して異議はまったくないのだが、T・レックスというかマーク・ボランの良い意味でのあだ花感というか儚さのようなものこそ、ポップ・ミュージックの醍醐味を体現しているように感じることもある。特にこの曲のギター・リフなどはひじょうに影響をあたえたとは思うのだが、どれ1つとしてオリジナルのこのルーズなようでいて華がある感じには到底およんでいないというオリジナリティーがある。

4. Family Affair – Sly & The Family Stone

アルバム「暴動」からの先行シングルで、全米シングル・チャートで1位に輝いた。60年代にはファンクとロックをミックスしたようなユニークな音楽性で数々のヒットを生み出していたわけだが、この曲ではひじょうに独特なアレンジがされていて、ポップ・ミュージックの新たな地平をまたしても切り拓いたような印象がある。

3. Let’s Stay Together – Al Green

ポップ・ミュージック史上最高のラヴ・ソングの1つといっても良いのではないだろうか。愛は移ろいやすく、かつて愛し合っていた人々もいずれは離れ離れになっていくのだが、そんな現実をふまえながらも永遠の愛を歌っているのがこの曲であり、全米シングル・チャートでも1位に輝いている。あまりにもストレートすぎる内容ではあるのだが、素晴らしい演奏とアル・グリーンのボーカルの強度がそれにリアリティーをあたえている。

2. Imagine – John Lennon

クレジットはジョン・レノンの作詞・作曲になっているが、オノ・ヨーコの思想に強く影響を受けた楽曲である。ひじょうに優しげなバラードのように聴こえながら、実際には最もラジカルなメッセージ・ソングである。反戦や平和を訴えることが反体制的で政治的であるというのはある意味において正しい認識ではあるのだが、それがまたさらに分かりやすくなっていくのならば、この曲の価値はさらに揺るぎないということができる。

1. What’s Going On – Marvin Gaye

フォー・トップスのメンバー、レナルド・ベンソンが、ベトナム戦争に対し抗議行動を行う市民に対し警官が暴力をふるう場面を目撃したことにショックを受けたことが、この曲を書くきっかけになったのだという。同じレーベルに所属していたマーヴィン・ゲイはそれまで主にラヴ・ソングを歌っていたのだが、社会がこのような状況にあるのだから、もっと歌うべきことがあるのではないかと思い、アル・クリーヴランド、ラナルド・ベンソンと共にこの曲を完成させる。

レーベルの社長、ベリー・ゴーディはこのようなメッセージ性の強い曲をマーヴィン・ゲイが歌うことに難色を示し、おそらく売れないだろうと思われていたようなのだが、結局はヒットして、この曲を収録した「ホワッツ・ゴーイン・オン」はソウル・ミュージックの新たな可能性を提示したともいえる。そして、これは残念なことでもあるのだが、当時この曲が投げかけたメッセージが今日の社会においてもまったく時代遅れになってはいない。

「愛のゆくえ」の邦題でも知られるこの曲は、アメリカのキャッシュボックスではシングル・チャートの1位になったが、ビルボードでは同じレーベルのテンプテーションズ「はかない想い」に阻まれ、2位止まりであった。