1976年の洋楽ロック&ポップス名曲ベスト20

荒井由実「あの日にかえりたい」がオリコン週間シングルランキングで4週連続1位に輝き、シティ・ボーイのための雑誌「ポパイ」が創刊、ピンク・レディーがデビューしたり子門真人「およげ!たいやきくん」が大ヒットしたりといったトピックが日本ではあった1976年、アメリカやイギリスでリリースされたポップ・ソングの中から特に重要だと思える20曲を選んでいきたい。

20. Love Hangover – Diana Ross

シュープリームスを脱退し、ソロ・アーティストに転向して以降はバラードのイメージが強かったダイアナ・ロスが当時のトレンドであったディスコ・ポップにチャレンジしたところ、これがハマって全米シングル・チャートで1位に輝いたという曲である。

19. New York State Of Mind – Billy Joel

ビリー・ジョエルが「ストレンジャー」でブレイクする少し前のアルバム「ニューヨーク物語」の収録曲で、シングル・カットはされていないがとても人気がある曲である。アメリカ西海岸で3年ほど過ごした後でニューヨークに戻って来たビリー・ジョエルが地元への想いを歌った曲となっていて、邦題は「ニューヨークの想い」である。

18. So It Goes – Nick Lowe

パブ・ロック・バンド、ブリンズレー・シュウォーツを解散したニック・ロウのソロ・デビュー・シングルで、スティッフ・レコーズの最初のリリースであった。ラモーンズの「ロックンロール・ハイスクール」や「アドベンチャーランドへようこそ」といった映画のサウンドトラックにも使われている。

17. Don’t Leave Me This Way – Thelma Houston

フィリー・ソウルのヒットメーカー、ギャンブル&ハフらによって書かれた曲でハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツによるバージョンがオリジナルである。ダイアナ・ロスが歌うことになっていたようなのだが、結局はテルマ・ヒューストンのカバーがリリースされ、全米シングル・チャートで1位に輝いた上にディスコ・クラシックとしても認知されるようになっていった。80年代にはコミュナーズによるカバー・バージョンが、全英シングル・チャートで1位になっている。

16. Rich Girl – Daryl Hall & John Oates

全米シングル・チャートにおいて、ダリル・ホール&ジョン・オーツにとって初の1位を記録した曲である。ダリル・ホールの恋人であったサラ・アレンの元カレがモデルになっていて、本来ならば「リッチ・ボーイ」となるところなのだが、性別を変えて「リッチ・ガール」にしたとのことである。

15. Livin’ Thing – Electric Light Orchestra

ELOことエレクトリック・ライト・オーケストラのアルバム「オーロラの救世主」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで最高4位を記録した。聴いていることがけしてクールとは見なされないのだが、抗えない魅力を持った曲のことを「ギルティー・プレジャー」と呼び、イギリスの音楽雑誌「Q」が2006年にそれの特集を組んだ時に、この曲が1位に選ばれていた。

14. Hotel Carlifornia – The Eagles

アルバム「ホテル・カリフォルニア」のタイトルトラックで、全米シングル・チャートで1位に輝いた。アメリカ西海岸文化に憧れていた当時の日本でもオリコン週間シングルランキングで最高15位のヒットを記録したのだが、歌詞の内容はアメリカ文化の退廃や輝かしい時代の終わりのようなものであったともいわれている。

13. Lowdown – Boz Scaggs

アルバム「シルク・ディグリーズ」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートで最高3位を記録した。AORというサブジャンルの解釈は日本と欧米とでわりと異なっているのだが、都会的に洗練されたライフスタイルのBGMとして日本でもとても人気があった。

12. Sir Duke – Stevie Wonder

アルバム「キー・オブ・ライフ」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートで1位に輝いた。1974年に亡くなったジャズのアーティスト、デューク・エリントンに捧げた楽曲で、ホーン・セクションによる演奏がひじょうに印象的である。

11. (Don’t Fear) The Reaper – Blue Oyster Cult

アメリカのロック・バンド、ブルー・オイスター・カルトのヒット曲で、全米シングル・チャートでの最高位は12位ながら、永遠の愛と死をテーマにした楽曲にはひじょうに人気があり、ポップ・ミュージック史に残る名曲の1つとして聴かれ続けている。

10. Police & Thieves – Junior Murvin

レゲエ・アーティスト、ジュニア・マーヴィンがリー・ペリーのプロデュースでレコーディングした曲で、邦題は「ポリスとコソ泥」である。ファルセットのボーカルが特徴的であり、ザ・クラッシュによってカバーされ、デビュー・アルバム「白い暴動」に収録したバージョンによって、より広く知られるようになった。

9. New Rose – Damned

パンク・ロック・バンド、ダムドのデビュー・シングルで、ニック・ロウのプロデュースでスティッフ・レコーズからリリースされた。イギリスのパンク・ロックで初のシングルともいわれていて、全英シングル・チャートでの最高位は81位だったものの、パンク・クラシックスとしての評価が定着している。デビュー・アルバム「地獄に堕ちた野郎ども」にも収録されている。

8. Young Hearts Run Free – Candi Staton

キャンディ・ステイトンはランチタイムに恋人と別れたいのだが別れられないというようなプライベートでの悩みをプロデューサーでソングライターのデヴィッド・クロウフォードに打ち明けていたようなのだが、それに対する返答として書かれたのがこの素晴らしいディスコ・ポップだといわれている。全英シングル・チャートで、最高2位を記録した。

7. More Than A Feeling – Boston

ロック産業が肥大化し、商業化したことへの反動としてパンク・ロックが生まれたともいわれているのだが、一方で産業ロックとも呼ばれるジャンルからはその方向性をさらに推し進めた作品もヒットし続けていた。その最たるものがボストンのデビュー・アルバム「幻想飛行」からの先行シングルでもあったこの曲であり、全米シングル・チャートでは最高5位を記録した。邦題は「宇宙の彼方へ」である。

6. The Boys Are Back In Town – Thin LIzzy

アイルランド出身のハード・ロック・バンド、シン・リジィのアルバム「脱獄」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで最高8位を記録した。邦題は「ヤツらは町へ」で、「NME」ではこの年の年間ベスト・シングルに選ばれている。とにかく勢いがあってとても良い。

5. Blitzkrieg Bop – Ramones

ラモーンズのデビュー・アルバム「ラモーンズの激情」の1曲目に収録され、「電撃バップ」の邦題でも知られるとても人気がある曲だが、全米シングル・チャートにはランクインしていない。ベイ・シティ・ローラーズ「サタデー・ナイト」とローリング・ストーンズ(によるルーファス・トーマスのカバー)「ウォーキング・ザ・ドッグ」にインスパイアされたということで、強力なポップ感覚にも納得である。

4. Go Your Own Way – Fleetwood Mac

翌年にリリースされ、大ヒットするアルバム「噂」からの先行シングルである。バンド内でメンバー同士が付き合ったり別れたりするという状況でレコーディングされ、別れた恋人に対して書いた曲をその張本人が歌うというなかなか大変なことになっているのだが、にもかかわらず、というかだからこそなのか、ポップ・ソングとしてのクオリティーとリアリティーがすさまじいことになっている。

3. American Girl – Tom Petty & The Heartbreakers

トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのデビュー・アルバム「アメリカン・ガール」からのシングル・カット曲で、代表曲ではあるのだが、当時は全米シングル・チャートにランクインせず、全英シングル・チャートでは最高40位を記録した。いわゆるシャッフルビートを取り入れたポップ・ソングとしてひじょうに優れていて、ザ・ストロークス「ラスト・ナイト」や嵐「Happiness」などにも影響をあたえたかもしれない。

2. Dancing Queen – ABBA

スウェーデン出身のポップ・グループで、当時は2組の夫婦から成っていたABBAが世界的に大ブレイクを果たした曲で、イギリスやヨーロッパ各国のみならず、アメリカのシングル・チャートでも1位に輝いた。アメリカで流行していたディスコ・ミュージックの要素をユーロポップに取り入れたような楽曲で、当時のトレンドにうまくハマっていたのと同時に、パーフェクト・ポップ・シングルとでも評すべき普遍的な魅力にも溢れている。

1. Anarchy In The UK – Sex Pistols

パンク・ロック・バンド、セックス・ピストルズのデビュー・シングルで、全英シングル・チャートで最高38位を記録した。パンク・ロックがポップ・ミュージックに影響をあたえ終えた後からでは当時の衝撃を知ることはもう難しいのだが、それだけにシンプルにポップ・ソングとしての強度と、ジョニー・ロットンによるボーカルの特異性は明確に認識できる。