アル・グリーンの名曲ベスト10
アル・グリーンは1946年4月13日、アメリカのアーカンソー州フォレスト・シティで生まれ、70年代には数々のソウルヒットによって有名になった。ポップミュージック史上最も優れたシンガーの1人ともいわれる、エモーショナルなボーカルに定評があるが、70年半ばに発生した恋人の自殺に心を痛め、それ以降は牧師に転向し、ゴスペルシンガーとしての活動が主になった。その後も映画のサウンドトラックなどによって、新たな世代のファンにも聴かれ続けている。今回はそんなアル・グリーンの楽曲の中から、これは特に名曲、代表曲なのではないかと思える10曲をあげていきたい。
10. L-O-V-E (Love) (1975)
アル・グリーンといえばラヴソングのイメージがひじょうに強くもあるわけだが、1975年にリリースされた9作目のアルバムタイトルは「アル・グリーン・イン・ラヴ」と、そのものズバリという感じである。アルバムの1曲目に収録され、シングルカットもされたこの曲は全米シングル・チャートで最高13位のスマッシュヒットを記録している。70年代のアル・グリーンはR&Bアルバム・チャートで6作連続1位という記録を残しているのだが、「アル・グリーン・イズ・ラヴ」は、そのうち最後の1作ということになる。ひじょうにゴージャスなサウンドに乗せて、愛の尊さについて歌われている。80年代にはネオ・アコースティックの名盤、オレンジ・ジュース「ユー・キャント・ハイド・ユア・ラヴ・フォーエヴァー」でもカバーされ、シングルでもリリースされている。
9. I Can’t Get Next To You (1970)
アル・グリーンの3作目のアルバム「アル・グリーン・ゲッツ・ネクスト・トゥ・ユー」からシングルカットされ、全米シングル・チャートでの最高位は60位であった。ブレイクを果たすまではあともう少しだが、完成度はすでにひじょうに高い。オリジナルはテンプテーションズによるファンキーなヒットシングルなのだが、アル・グリーンによるこのカバーにおいては、エモーショナルなボーカルによって静かに盛り上がっていく、まったく異なったタイプの曲になっている。
8. You Ought To Be With Me (1972)
「コール・ミー」のアルバムからシングルカットされ、全米シングル・チャートで最高3位のヒットを記録した。この頃のアル・グリーンの作品は、アルバムもトータル的にクオリティーが高く、それがチャートでの順位にも反映されているのだが、R&Bチャートのみならずポップチャートでもかなりヒットしたこの曲ともなれば、特に良い意味での分かりやすさがあってとても良い。先にヒットした別の曲に少し似ているように思えるところもあるが、それでもこんなんなんぼあっても良いですからね的なメリットがビンビンに感じられたりもする。もちろん熱いラヴソングである。
7. Look What You Done For Me (1972)
アルバム「アイム・スティル・イン・ラヴ・ウィズ・ユー」から最初のシングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで最高4位を記録した。イントロの時点でこれはもうたまらなく良いな、という気分にはなるのだが、ボーカルもホーンもやはり素晴らしく、程よくキャッチーでもあるので、これがR&Bチャートのみならず、ポップチャートでもしっかりヒットしていたというのも納得というものである。ファルセット気味なったりマイルドにシャウトしたりと、ボーカルパフォーマンスもとても良い。
6. Call Me (Come Back Home) (1973)
アルバム「コール・ミー」の表題曲で、全米シングル・チャートでは最高10位を記録した。愛は終わりかけているというか、事実上はすでに終わっている可能性がひじょうに高いのだが、それでも取り戻そうとせずにはいられない、というような感情が最高のボーカルパフォーマンスで歌われている。内面的には衰弱しかけてもいるのだが、それでもふり絞るように歌われている感が表現されているようでもあり、そこにまたグッときたりもする。しかるべきシチュエーションにおけるサウンドトラックとしても、強力に機能しそうな気がしないでもない。
5. I’m Still In Love With You (1972)
アルバム「アイム・スティル・イン・ラヴ・ウィズ・ユー」の表題曲で、全米シングル・チャートで最高3位を記録した。この曲もまたとても良い、というようなシンプルな形容しかなかなか思いつかないのだが、ボーカルは甘くエモーショナルで、サウンドも70年代ソウルの最も良い感じというのか、いろいろ行凝縮されている感じがひじょうにする。
4. Take Me To The River (1974)
アルバム「アル・グリーン・エクスプロアーズ・ユア・マインド」の収録曲で、シングルカットはされていなかったようなのだが、トーキング・ヘッズがカバーしたことで有名な曲である。個人的にはトーキング・ヘッズのカバーバージョンの方を先に聴いたので、それのオリジナルという印象の方がひじょうに強い。のみならず、アル・グリーンのレパートリーのい中でもチト(河内)異質ではないかというような印象も受ける。サザンソウル的なサウンドでありながら、後にポスト・パンクされそうな予感もすでにしているのだが、おそらく気のせいではないかとは思われる。
3. Love And Happiness (1972)
これもまた、とても良いアルバム「アイム・スティル・イン・ラヴ・ウィズ・ユー」に収録された曲なのだが、なんと当時はシングルカットされていない。後にシングルでリリースはされるが、それほどヒットしていない。にもかかわらず、間違いなくアル・グリーンの代表曲の1つである。タイトルを直訳すると「愛と幸福」というひじょうにシンプルなものではあるのだが、実のところ、人間これだけがあれなそれでじゅうぶんにやっていけるのではないかというぐらいにエッセンシャルなものでもある。それに相応しい楽曲でありパフォーマンスであり、この概念だけで済まされるのであれば他に何もいらないというレベルではあるのだが、実際にそうではないため、他にもいろいろ必要だという話である。ちょっと何を言っているのか分からない可能性もひじょうに高いのだが、辻褄だけは合っているのではないかという予感はひじょうにしている。
2. Tired Of Being Alone (1971)
1. Let’s Stay Together (1971)