1997年の名盤アルバムベスト20(20-11)

1997年にリリースされたアルバムの中から、これは名盤なのではないかと思える20タイトルを挙げていく回である。

20. The Boatman’s Call – Nick Cave & The Bad Seeds

ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズの11作目のアルバムで、全英シングル・チャートで最高22位を記録した。ピアノをベースにしたシンプルなアレンジが特徴的で、ニック・ケイヴのボーカリストとしての魅力を堪能できるアルバムとなっている。収録曲のうちいくつかは、短い間だけ交際していたPJハーヴェイがモデルになっているのではないかといわれている。

19. New Forms – Roni Size/Reprazent

ロニ・サイズ&レプラゼントのデビューアルバムで、全英アルバム・チャートでは最高8位を記録した。アシッド・ジャズのイメージが強いトーキング・ラウドレーベルからリリースされたドラムンベースのアルバムで、マーキュリー賞を受賞したことでも知られる。ドラムンベースという新しいアートフォームの認知度を、メインストリームにまで広げた功績は大きい。

18, Vanishing Point – Primal Scream

プライマル・スクリームの5作目のアルバムで、全英アルバム・チャートで最高2位を記録した。元ストーン・ローゼズのマニがベーシストとして加入してから初めてのアルバムである。テクノ、ダブからパンクやハードロックまで、様々なジャンルから影響を受けたエクレクティックなアルバムになっている。赤坂ブリッツのライブでは、何度もアンコールをやってくれてとても良かった(会場の外に「ロッキング・オン」増井修元編集長の不当解雇に抗議する旨のチラシを配るいたいけな少女達がいた)。

17. Wu-Tang Forever – Wu-Tang Clan

ウータン・クランの各メンバーがソロ活動を活発に行った後に発表されたグループにとって2作目のアルバムで、全米アルバム・チャートで初登場1位に輝いた。サウンドプロダクション、ラップ共により進化が感じられ、アートフォームとしてのヒップホップをまた一歩先に進めたようなアルバムであった。

16. Portishead – Portishead

ポーティスヘッドの2作目のアルバムで、全英アルバム・チャートで最高2位を記録した。ヒットしたデビューアルバム「ダミー」以来、約3年ぶりとなる待望の新作は、特徴であるトリップホップ的な音楽をよりダークでゴシック的にしたようなものであった。

15. Supa Dupa Fly – Missy Misdemeanor Elliott

ミッシー・エリオットのデビューアルバムで、全米アルバム・チャートでは女性ラッパーとしては当時における最高位の初登場3位を記録した。デジタルビートを取り入れたティンバランドの未来的かつ実験的なサウンドプロダクションと、ミッシー・エリオットのキャラクターが立ちまくったラップが高く評価されている。アン・ピープルズ、ミュージカル・ユース、ジャミロクワイなどの曲をサンプリングし、バスタ・ライムズ、ジニュワイン、リル・キム、アリーヤなどがゲストとして参加している。

14. Time Out Of Mind – Bob Dylan

ボブ・ディランの30作目のアルバムで、全米アルバム・チャートで最高10位を記録した。オリジナルアルバムとしては1990年の「アンダー・ザ・レッド・スカイ」以来となり、楽曲のクオリティーとダンヒエル・ラノワにによる雰囲気のあるサウンドプロダクションにより、本格的なカムバックを感じさせる作品となった。翌年のグラミー賞では、最優秀アルバム賞と最優秀コンテンポラリー・フォーク・アルバム賞を受賞している。

13. In It For The Money – Supergrass

スーパーグラスの2作目のアルバムで、全英アルバム・チャートで最高2位を記録した。元気ハツラツで最高だったデビューアルバムに比べ、よりソングライティングのクオリティーが高まり、表情も豊かになったように感じられる。ブリティッシュ・ギターロックの伝統を継承しながら、「リチャードⅢ」に感じられる若さほとばしるパンキッシュな勢いもとても良い。

12. Young Team – Mogwai

スコットランド出身のインディー・ロックバンド、モグワイのデビューアルバムで、全英シングル・チャートで最高75位を記録した。ほとんどがインストゥルメンタル曲で、エクスペリメンタルでありながら独特なポップ感覚が特徴である。ジャケットにはいまはなき富士銀行恵比寿支店の写真が使われている(2002年に日本興業銀行、第一勧業銀行と合併し、みずほ銀行となった)。

11. Homogenic – Bjork

ビヨークの3作目のアルバムで、全英アルバム・チャートで最高4位を記録した。サウンド面ではよりエロクトロニカ色が強くなり、ストリングスが効果的に用いられているのも特徴である。ビヨークの故郷であるアイスランドのイメージが、アルバムのコンセプトになっている。